ブロックチェーン技術の著作権への応用

ビットコインの中核要素として開発されたブロックチェーンは、仮想通貨への利用だけでなく、様々な業界・業務への活用が見込めると言われています。著作権の保護にもブロックチェーンは活用できる可能性があります。そこで、今回はブロックチェーンで著作権を守れる理由について記載します。

▼目次

  1. ブロックチェーンは著作権保護に有効
  2. デジタルデータの著作権保護とブロックチェーン
  3. ブロックチェーンで著作権登録費用・申請時間を削減
  4. ブロックチェーンと著作権のこれから

ブロックチェーンは著作権保護に有効

著作権は、著作物の創作時点で権利が発生するものです。しかし、著作物を創作したことの法的拘束力を持たせるためには、役所へ届け出を行うなどの登録作業が必要になります

ブロックチェーンには、履歴が自動で残り、前後の履歴ともつながっているため改ざんできないという特徴があります。このブロックチェーンの特徴を、著作権保護に活用しようという構想があります。

著作物をブロックチェーン上に登録しておけば、登録したという履歴が残るだけでなく、著作物を無断で利用しようとしても、利用した人の履歴が自動で残り、履歴は参加者に公開されているため無断で使用することができません。

仮に、履歴を改ざんしようとしても、ブロックチェーンは他の履歴とつながっていることと、分散型のデータ保管方法となっていることから改ざんできません。著作物の利用をごまかすことができないのです。

ブロックチェーンによる著作権証明

ブロックチェーン上の著作物を登録した履歴自体に法的拘束力はありませんが、システムで自動的に取得した情報であり、改ざんできないことから非常に信用度の高いものとなります。

このように、ブロックチェーンは著作権保護のために有効だと言われているのです。

デジタルデータの著作権保護とブロックチェーン

インターネットの登場で音楽や動画の配信サービスが普及したことにより、音楽・映画等の作品をデータとして手軽に短時間で配信できるようになりました。ただ、データとしての配信ができるようになったことは、作品データのコピーを作成し、無断で他者に渡したり公開されるという著作権侵害の問題も引き起こしています。

ブロックチェーンを使って音楽や映像の配信を行うようになれば、履歴が自動で残り、改ざんできないことや、情報が公開されているため、配信データを無断でコピーし、他者への譲渡や公開される著作権侵害の問題を解決できます。

ブロックチェーンのインセンティブ設計による著作権保護

重要なのは”ブロックチェーンを使えば”そういった正当な対価の支払いができるという点です。Youtubeなどの既存メディアによるコピー配信などを防ぐことは現実的に難しく、いたちごっこの世界です。

しかし、ブロックチェーンの目指す世界は「利益を得るべき人に正当に利益が渡る」というものであり、配信データにトークン(証明)を付与することで、定めた期間を過ぎたら利用できないように設定したり、配信に伴う課金についても正確に行うことができるのです。

ブロックチェーンで著作権登録費用・申請時間を削減

ブロックチェーンの履歴が残る機能により、著作権保護に有効となる旨を記述してきましたが、著作権を登録するための費用と申請作業に伴う期間を削減する効果も期待されています。

既に記載したように、ブロックチェーンの履歴は自動で残り、改ざんできないため、情報としての信用度が高いです。そのため、役所へ届け出をしなくても、ブロックチェーン上に登録を行えば、著作物の登録はほぼ完了できたと言えます。

進むブロックチェーンの応用開発

現在、筑波大学情報工学研究科の研究チームでは、折り紙の折り図をビットコインに記録する実験を行っています。ビットコインの取引と折り図の情報を結合して、小額での取引を送信し、ブロックチェーンに記録された時の履歴を使用する方法が提案されています。

ビットコインを使った、筑波大学の折り図の著作権登録の仕組みのメリットは、費用の安さと申請時間の短さです。費用が安くなり、申請時間も短くなることで、著作物の登録をより身近にできるという効果も見込めます。

ブロックチェーンと著作権のこれから

今回は、ブロックチェーンによって著作権を守れる理由、どのようにして著作権を守れるか説明いたしました。ブロックチェーンには、様々な可能性があると言われているため、今回ご紹介した事例以外にも様々な活用方法があります。今後のブロックチェーンの展開にも注目が必要です。

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