マイニングと仕組み

ブロックチェーンと深いかかわりを持つものに、「マイニング」があります。

そもそも、ブロックチェーン技術は、トランザクション(取引記録)をブロックに記録していくことで、ブロックがチェーン状につながることに特徴があります。

この記録は、コンピューターの計算能力を使うことで行なわれています。仮想通貨は、この作業がなければ成り立たないため、この作業にあたる人(多くは事業者)に報酬として仮想通貨を付与しています。

このことから、トランザクションの承認にあたる人をマイナー、それによって報酬を得る行為をマイニングといいます。

マイニングとは①:計算機があれば誰でも参加できる

基本的に、仮想通貨の発行総量には上限があります。例えば、ビットコインの発行は2100万枚を上限としており、新規の発行はマイナーへの付与を通して行なわれます。

このため、ビジネスとしてマイニングに取り組む事業者も存在します。マイニングは誰でも参加できるものですが、実際にはマイニングの多くが大規模なマイニング業者によって行なわれています。

マイニング事業では、マイニングの結果として受け取る新規発行通貨が利益となるため、マイニング事業の収益性は仮想通貨の価格変動に大きく左右されます。

マイニングの仕組み②:価格とマイニングの関係

仮想通貨の価格が低いタイミングでマイニングしていれば、その後の値上がりによって大きな利益を得ることができます。

顕著な例が、クレイグ・ライト氏の例です。クレイグ・ライト氏は、ビットコインの開発者であるナカモト・サトシを自称していることや、ビットコインSVを率いる人物としても知られています。

クレイグ・ライト氏は、ビットコイン黎明期である2009年から2011年にかけて、マイニングによって110万BTCものビットコインを得ています。これは、2020年2月25日現在の時価

(1BTC=105万円)で換算すると、1兆1550億円となります。

クレイグ・ライト氏ほどではなくとも、2017年にビットコイン価格が急上昇する以前にマイニングを実施していれば、かなりの利益を得られていたことでしょう。

このため、仮想通貨市場が活況を呈した2017年後半には、その後もしばらく値上がり益が期待できるとして、多くの事業者がマイニング事業に乗り出しました。

マイニング事業の難しさ

実際には、多くのマイニング事業者が困難に直面することとなりました。なぜならば、上記の通り、マイニング事業の採算性は、マイニングする仮想通貨の価格変動に大きく左右されるためです。

2018年に入るや否や、仮想通貨は軒並み暴落となりました。多くの事業者が、マイニングの対象としてビットコインを選びましたが、ビットコイン価格は2017年末に200万円を突破していたものが、1年後の2018年末には30万円台へと下落しています。

マイニングのためには、膨大な処理能力が必要となります。このため、マイニング事業者はマイニングファームといわれる施設を作り、たくさんのコンピューターを稼働させてマイニングにあたります。つまりマイニングは、多くのコストをかけて、初めて成り立つ事業なのです。

マイニング事業からの撤退

ところが、ビットコイン価格が下落の一途を辿ったことで、コストをかけてマイニングしても、マイニングによって得た仮想通貨がみるみる下落していき、利益が目減りし、採算性が極端に悪化していきました。

日本国内のマイニング事業者も、2018年末に、GMOインターネットやDMM Bitcoinがマイニング事業から撤退することを発表しています。特にGMOインターネットは、マイニング事業により、連結決算で約355億円もの損失を計上しています。

このように、2018年にビットコイン価格が急落したことを受けて、世界中のマイニング事業者に逆風が吹いたのです。

価格変動との関係からマイニング事業を見てみると、マイニングの仕組みが一層分かりやすいかと思います。

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