経済発展著しい香港で初のBlockchain EXE開催

高層ビルが立ち並び、アジアで存在感を発揮するほど経済発展を遂げている香港。今回のBlockchain EXEは香港だけでなく、グローバルで実績を持つ企業が集結しました。

  • NEM API活用によるコミュニティ拡大 | Ricardo Medrano(Director at NEM Foundation)
  • ブロックチェーンを活用した個人認証のトラストレス社会 | Dr. Lawrence Ma(HKBCS Founder)
  • 安全なセキュリティと複数通貨を管理できるウォレット | Ellena Ki(Marketing leader at Infinito Wallet)
  • “Connectome”が描くオートメーション化の世界 | 石井敦(Couger CEO), 石黒一明(Chief Blockchain Architect)
  • 企業から消費者を繋げるブロックチェーンANX | Billy Chan (Vice President of the Products)

NEM API活用によるコミュニティ拡大 | Ricardo Medrano(Director at NEM Foundation)

仮想通貨業界を牽引するNEMのプレゼンテーションでBlockchain EXEは幕を開けました。

香港とオーストラリアを橋渡しし、NEMの財団理事を務めるMedrano氏はAPIを用いたブロックチェーン利用について解説しました。NEMは多くの開発者に優しい拡張性のあるプラットフォームを目指しています。そのために、「プログラミングや難しい言語を学ぶ必要が全くないAPIやSDK」を公開しています。

NEMがスマートシティで用いられるために進めているプロジェクトには以下の2点です。

  • ”Landstead”:NEMのブロックチェーン技術を用いて土地や不動産の所有権登録の仕組みを政府や市民の間で共同開発を行えるようなオープンなブロックチェーンコミュニティシステムは有志の開発者同士が信頼し、相談し合うことが可能になる。
  • ”ioNEM”:移動可能かつインターネットに繋がれたIoTの所有権をNEMの技術を用いて提供することを主な目的としている。

NEMのコミュニティに多くの開発者が集まることで、自律分散的に様々なブロックチェーンのユースケースが生まれています。

ブロックチェーンを活用した個人認証のトラストレス社会 | Dr. Lawrence Ma(Founder at HKBCS)

HKBCS (The Hong Kong Blockchain Society) の創設者であり、社長も務めるMa氏はスマートシティ構想について説明しました。

HKBCSは、香港における多様なプロジェクトを支援することにより、健全なブロックチェーンエコシステムの形成を積極的に推進しています。また、政府、学界、ブロックチェーン業界と協力して教育訓練や研究開発、アドバイザリー活動などを積極的に実施し、香港および周辺地域のブロックチェーンエコシステムの構築と発展を目指しています。

Ma氏は信頼とデータが必要であるスマートシティをうまく機動すための3要素を紹介しました。

  1. デジタルアイデンティティ
  2. インターネットを信頼する権利
  3. プライバシーの保護

「“BlockchainDLT”は互いに見知らぬ開発者同士の存在状態や共有されたデータに関する同意を作り、維持するためのシステムだ」とMa氏は言います。

このシステムを用いることで、開発者が技術に対して透明性を担保しながら開発することが可能であり、お互いの信頼が生まれると考えられます。

安全なセキュリティと複数通貨を管理できるウォレット | Ellena Ki(Marketing leader at Infinito Wallet)

Infinito Walletのマーケティングリーダーを務めるKi氏は世界初の複数資産の財布として“Infinito Wallet”を提案しました。これはBitcoin, Bitcoin CashそしてERC20といった主な仮想通貨の取引を可能にするサービスで、6ヶ国語に対応しておりGoogleやApple Storeで入手可能となっています。

“Infinito Wallet”の強みはユーザーに優しい機能だけでなく、ユーザーやその個人情報を守る安全性やプライバシー基準を守っているところにあるそうです。これはユーザーの秘密鍵やパスワードを企業が保有しないことに加えて、タッチID機能、定期監査を行なっていることで可能となっています。

現在、Infinito Walletはグローバル展開を行なっており、様々なユーザーが利用しているウォレットとなっています。

“Connectome”が描くオートメーション化の世界 | 石井敦(Couger CEO), 石黒一明(Chief Blockchain Architect)

Connectomeの開発を行なっているクーガーにはゲーム開発者が多いのが特徴です。なぜCougerはゲームの世界からAIやブロックチェーンの世界に来たのでしょうか。

「ゲーム開発は40年以上、AI的な技術を必要とする作業領域であった。そしてAIの意思決定部分に大きな影響を与える」とクーガーCEOの石井氏はおっしゃいました。数々の人気ゲームを開発実績から、大量データを捌くための複雑なリアルタイム処理やモデリング技術を用いて、AIやブロックチェーンの開発を行なっている。

石井氏に続いて、Cougerのリードブロックチェーンエンジニアであり、Enterprise Ethereum Allianceの日本支部代表でもある石黒氏が登壇しました。石黒氏からはIoTなどのデバイスとどのようにブロックチェーンと連携し、それらを通じてどのようなアウトプットを作ることができるのか、技術的な話を中心に行っていただきました。

企業から消費者を繋げるブロックチェーンANX | Billy Chan (Vice President of the Products)

ANX Technology Solutionsで製品部門責任者を務めているChan氏は”White Label Capabilities”と呼ばれるB2B2Cのホワイトラベル製品交渉プラットフォームについての紹介を行いました。ANXは400人を超えるスタッフを抱え、グローバルに成長している企業です。しかし、そこに至るまでには様々な問題があったとChan氏は言います。

  1. 仮想通貨の流動性
  2. 費用と時間
  3. 安全性
  4. 企業コンプライアンス

2014年に“ANEX Pro”と呼ばれる取引プラットフォームを発表し、2015年から2016年にはOTC取引の協賛を得ていました。

企業の圧倒的な成長は、「市場の需要調査、ビジネスチャンス獲得、ワンストップソリューションの提案、新しいエコシステムの導入、強力な協賛企業との綿密な連携」が必要不可欠であるとChan氏は言います。ANXの製品は30日から60日かけてユーザー間でプラットフォームを開発するだけでなく、マーケティングや安全保証といったビジネス費用を抑える面でも効率化を図っています。

参加者の熱量が高かった香港イベント

休日にも関わらず、イベントには多くの参加者が集まりました。イベントのネットワーキングでは登壇者への質問だけでなく、参加者同士の交流も盛んに行われていました。

次回のBlockchain EXEは中国最大手ブロックチェーンメディアである8BTCとの共同で9月16日に開催します。

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