ブロックチェーン実証実験を行う日本企業。未来のブロックチェーンサービス

拡がるブロックチェーン開発

日本にもFintechの大きな流れがきています。その代表的なテクノロジーとして様々な目的でブロックチェーンの実証実験が行われています。一体、どのような開発が進められているのでしょうか。

ブロックチェーン実証実験企業１：NTTデータ

NTTデータはブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤実現に向けたコンソーシアムを発足させました。ブロックチェーンを使う事による貿易企業における事務手続きの効率化、迅速化、利便性の向上を目指しています。

貿易分野のブロックチェーン活用を拡げる

業態を横断して貿易関係者の参加を仰ぎ、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤の実用化を目指しているようです。大きな産業領域であるため、このような大きな力を持った企業が積極的に動くことは産業発展において非常に重要と言えます。

ブロックチェーン実証実験企業２：電通国際情報サービス

有機農業発祥の町、宮崎県綾町の野菜にブロックチェーン技術で管理した生産情報を付与、販売を行っています。シビラの製品「Broof」を活用して生産履歴をブロックチェーン上に記録します。

農作物の信頼性をブロックチェーンで担保

有機農法で生産された農産物の植え付け、収穫、肥料や農薬の使用、土壌や農産物の品質チェックなどの生産管理を行い、綾町独自の取り組みの厳格さや、出荷する農産物の品質の高さを消費者に向けてアピールするためにブロックチェーンの分散型台帳を活用する取り組みです。

ブロックチェーン実証実験企業３：三井住友海上火災保険

三井住友海上火災保険ではブロックチェーンや分散台帳技術を活用した損害鑑定業務の実証実験を進めています。

ブロックチェーンによる保険業務の最適化

本実証実験では、損害保険会社と鑑定会社間で鑑定人の手配や鑑定の進捗状況等における情報共有をブロックチェーン上で行い、情報セキュリティの確保や業務効率化等を含めた業務への実用 可能性や、コスト削減を目指しています。

ブロックチェーン実証実験企業４：日本銀行

分散型台帳技術による資金決済システムの流動性節約機能の実現を目指し、日本銀行・欧州中央銀行が分散型台帳技術に関する共同調査を行っているようです。

金融とブロックチェーン

今回の調査からDLTを資金決済システムに応用する可能性について、前向きに捉えるに値する検証結果が示されています。調査結果は、あくまで実験環境で行われたものであり、本番環境におけるDLTの実用可能性について評価するものではない点には留意する必要があります。

ブロックチェーン実証実験企業５：KDDI

国内初、「Enterprise Ethereum (エンタープライズ イーサリアム)」を活用した「スマートコントラクト」の実証実験を開始しました。携帯ショップでの店頭修理申し込みから修理完了までの情報共有を対象とし、リアルタイム性、プライバシー情報の流通制御、オペレーション効率化の可能性を検証させるために、お互いの技術力とリソースをいかした実証実験が進められています。

スマホ修理とブロックチェーンによる情報の信頼性確保

携帯電話の店頭修理申し込みから完了までの工程における、リアルタイムな情報共有およびオペレーション効率化の可能性を検証しているようです。さらに「スマートコントラクト」により、修理事業とは別事業であるリユースサービスなど異なる事業者間におけるシステム連携の可能性を技術検証を進めており、具体的には、携帯電話の修理の際、修理価格、機種変更価格、中古市場価格など異なるシステム間の情報をプログラムが自動判別し最適な契約が行えるかを検証していくそうです。

ブロックチェーン実証実験企業６：近鉄グループホールディングス

あべのハルカスでのブロックチェーン技術を活用した仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」の社会実験を実施しました。地域通貨を発行するための新たなプラットフォームを構築するための第一ステップとして、ブロックチェーン技術を活用したシステムの技術的検証や、社会実装に向けた運用課題の抽出等を目指しています。

実験店舗での通常の商品お買い物時に、店舗のタブレット端末に表示される商品購入内容のＱＲコードを、お客さんのスマートフォンで読み取り、お客さんがタブレット端末に「近鉄ハルカスコイン」を送金して支払い（モバイル決済）を行うという決済システムをブロックチェーンで構築することで業務の効率化や二重支払い問題の解決を目指しています。

ブロックチェーン実証実験企業７：エナリス

ブロックチェーン技術を活用した電力取引サービス等の商用化に向けた検討を開始

決済によるブロックチェーンアプリケーション

ブロックチェーン技術をスマートメーターに組み込んだシステム開発の実績をもつ株式会社会津ラボの開発協力と、「いろは」のブロックチェーン技術を用いた学内通貨実証の経験を持つ会津大学の技術協力のもとに推進し、新しい電力サービスの商用化に向けた実証等を行っていくようです。

ブロックチェーン実証実験企業８：LIFULL

ブロックチェーンを活用した不動産情報共有・利用実証実験を開始しました。不動産情報流通における情報の一元化のためにブロックチェーン技術の有効性を考えているようです。

不動産とブロックチェーン

「登記簿謄本」「契約書」「公的証明」など大量の台帳や文書およびデータベースが果たしてきた役割を一元的に扱う事で、大幅に設計・開発・導入のコストや時間を圧縮、業務の効率化を目指しているそうです。

ブロックチェーン実証実験企業９：デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム

広告配信実績レポートデータに対する透明性を担保するためブロックチェーン活用による日本初のデジタル広告効果透明化実証実験を開始しました。

広告の効果測定とブロックチェーン

DSPと3PASの広告配信数は、PC・スマートフォンの通信環境やブラウザの設定などの影響でレポートの数値に差異が発生することがあり、その原因を特定することが重要となっています。この差異が技術的な要因であるか、他の要因であるかを特定し、その課題を解決するためにブロックチェーン技術を活用を試みています。

ブロックチェーン実証実験企業１０：インフォテリア

主催者でも改ざんできない公正性・ダウンタイムゼロで24時間投票可能・安価なシステム構築費用を実現するために上場企業の株主総会議決権行使におけるブロックチェーンの実証実験の作成に取り組み、開発を成功させました。

プライベート・ブロックチェーンによる株主総会議決権行使

希少性のあるトークン（デジタルアセット）を議決権として使用することにより、株主総会主催者であるインフォテリアですらデータ改ざんができない公正で透明性の高い投票システムを作ることができたことを発表しています。

ブロックチェーン実証実験企業１１：パルコ

ブロックチェーンとIoTを活用した実証実験を実施しています。その第一弾として本人のみが受け取れる宅配ボックスの開発に取り組みました。

物流とブロックチェーン

配送業者が宅配ボックスに荷物を納入することで、ブロックチェーン上に納入記録および施錠要求が行われます。荷物を受け取る利用者は、個人に紐づくスマートフォンを通じてブロックチェーン上に解錠を要求することで、宅配ボックスが解錠し、荷物の受領が記録されます。

ブロックチェーン実証実験企業１２：ナレッジオンデマンド

複数ユーザーによるドキュメント改訂履歴を、ブロックチェーンで恒久記録し、拠点間でのドキュメント活用やチーム作業効率化を推進するためマニュアルや企業内ドキュメントの改訂履歴管理と恒久記録に、 ブロックチェーン技術の適用を検証しています。

ドキュメントを章やトピック単位に分け、その作成日付や修正・複製・引用・他ドキュメントとの共通化など利用・改訂履歴をブロックチェーン上に記録し、改ざん不可能な形でトレース可能とする、生産性と社内資産活用の向上を目的としたWikiWorksの機能拡張の実現性を検証しているようです。

ブロックチェーン実証実験企業１３：オートバックス

見ず知らずの相手でも安心して売買できるプラットフォームを実現するため、ブロックチェーン技術による中古カー用品の個人間売買実験結果を公表しました。

中古車とブロックチェーン

Ethereumのブロックチェーン上で商品の所有権とステータスをコントロールして改ざん不可能なデータ管理を実現しました。将来的には、個人間売買を行う事業での業務システムとして展開できる可能性があります。

まとめ

どのブロックチェーンプラットフォームを使ってサービスを開発するのか、どういったインフラシフテムを構築していくのかなど、様々な側面から実証実験の方向性を考えていく必要があります。結果的には、最も重要なのはサービスとしての需要です。ブロックチェーンを使えば完璧なサービスを作れるわけではなく、「サービスの〇〇の部分を補うのにはブロックチェーンがベストチョイス」といった程度でしょう。

既にサービスとして展開されているもの、始まったばかりのプロジェクトなど様々ですが、今後ブロックチェーン分野に多くの企業が参入していく可能性が高いです。