成功事例の少ないICO


Financial Timesより

上図はICOの失敗の数を示した図です。ICO後に雲隠れするといったニュースが報道されているように、上手くいっていないプロジェクトは多数あります。

しかし、「上手くいかない=詐欺」とするのは正しいのでしょうか。ICOとは何かを整理しながら、これからのICOについて考えていきましょう。

目次

  • ICOとは?
  • クラウドファンディングとICO
  • 各国のICO規制と保有量の関係性
  • ICOの未来

ICOとは?

Initial coin offering(ICO)とは、暗号通貨の発行によるクラウドファンディングである。
一般的に新しい暗号通貨を開発するための資金調達手段として、暗号通貨がリリースされる前に実施される。
株式公開(IPO)と異なり、ICOによるトークンの提供は暗号通貨開発会社の所有権を付与するものではない。
wikipediaより引用

主に未上場スタートアップが資金調達して上場するIPOのケースと比較すると、個人投資家からの資金調達に近いです。

ICOは上場すれば、基本的にICO通貨の価格が上がるため、初期投資した人たちにリターンが返ってきます。

スタートアップが上場できる確率は単純計算で0.1%も満たしません。それと同様に考えれば「ICOの失敗=詐欺」とする主張は間違っています。

スタートアップの成功確率とICO

もちろん、ICOを利用した詐欺が存在している事は間違いありません。スタートアップの資金調達は多くの場合、何千万〜何億の調達をしますが、ICOの場合は基本的にそれよりも少額です。誰でも投資しやすい結果、失敗する人の母数が増えるため”詐欺”と思われやすくなると言えます。

個人が投資をしやすい点で、まさにICOはクラウドファンディングに近い資金調達手段であると言えます。

ICOとクラウドファンディングの違い

ICOとクラウドファンディングを比較してみましょう。上図を見るとわかるように、クラウドファンディングの資金調達の手段は様々です。多くの人が利用しているのは購入型のクラウドファンディングでしょう。個展などへの参加チケットやお礼の手紙、ここでしか手に入らないアイテムなどがあり、購入型のクラウドファンディングの中身も様々です。

一方、ICOの主な資金調達の手段は投資型リターンです。すなわち”儲かる”というインセンティブによって成り立っています。

仮想通貨の利用目的の多様化と可能性

ところで「仮想子猫(クリプトキティーズ)」というイーサリアムを使うゲームが流行っているのをご存知でしょうか。このゲーム内で行われる仮想通貨の取引は”儲かる”というインセンティブだけではなく、”楽しい”というコンテンツ消費にも利用されています。

今後、仮想通貨は”儲かりそう→買う”から”これで遊びたい→買う”といったように購入する目的が多様化していく可能性が十分に考えられます。

各国のICO規制と保有量の関係性

ICOの各国の規制と保有量の関係を示したものです。そして、国旗の下にある矢印は、どちらの方向に政府は進みつつあるのかを表しています。

まだまだ、仮想通貨市場そのものの規模も小さく、今後どうなっていくのか不透明な部分も多いため、イギリスのように見守るスタイルの国があります。一方で日本のように一定の規制は設けつつもポジティブな動きを見せている国や、中国のように一切のICOを禁止をする国があるため、各国のICOの対する姿勢は異なります。

規制が強くなれば人々は仮想通貨を保有しなくなるのか?

この図から言えることは「規制が強くなればなるほど、仮想通貨の保有量は下がる」といった反比例の関係性は見られないという点です。

仮に”自国通貨の流出を防ぐ”という目的でICOを規制したとしても、国によってルールが違うため、その目的を完全に達成する事は不可能です。

ICOの未来とブロックチェーンエコノミー

これからのICOがどのように変化していくのかは、国の経済状況や規制に大きく影響されます。

また、クラウドファンディングのように「ICOによる資金調達の手段・目的」もどんどん変化していくでしょう。「〇〇という経済圏、コミュニティを作りたい」という理由で独自通貨を発行して資金調達を行い、そのお金を元に自分の思い描くコミュニティの実現を達成するというICOの本来の姿は非常に価値があると思います。

「ICOによる新しい経済圏」と「自国の経済圏」をどのように維持していくのか、今後の各国の動向が非常に楽しみです。

»ビットコインとは?日本経済から見る非中央集権型社会のこれからと未来


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