アフリカを牽引するルワンダによる技術革新計画
皆さんはルワンダと聞いて何を思い浮かべるしょうか。「ルワンダ虐殺」として語られる歴史的背景を学校で習った事を覚えている人も多いかもしれません。
そもそもアフリカに対しても「ゾウがいる」というようなざっくりとしたものであったり、「投資が入ってきて注目させれつつある」というようなイメージを持つビジネスマンも多いかと思います。
「アフリカのシンガポール」ルワンダ
その中でルワンダは「アフリカのシンガポール」と呼ばれるほど、目まぐるしく発展を遂げています。ポール・カガメ大統領の強いリーダーシップのもと、国の近代化を目指し「VISION 2020 in Rwanda」を進めています。
ルワンダ政府の掲げる3つのビジョン
- 科学技術の発展、IT立国
- 民間セクターの振興
- 農業の近代化
今アフリカには多くの投資が入っていることは様々なメディアで取り上げられています。その投資の多くがインフラ整備に対するものです。Amazonのような物流サービス、Instagramのような写真共有サービス、Youtubeのような動画視聴サービスも全てインターネット無しには成り立ちません。更に物流の場合、交通インフラが整っていなければなりませんし、写真を撮るときは基本的にスマホかカメラが必要です。
インフラが当たり前のように整備されている日本人にとって、国内でインフラ視点からビジネスを展開しようと考える人は多くありません。(だからこそルワンダにはポテンシャルがあります!)
アフリカとプラットフォーマーの影響力
今あげたようなサービスが動く基盤となるインフラを第一レイヤーとして、私たちが普段使っている生活を便利にするアプリケーションを第二レイヤーとして考えてみましょう。
まずあなたは道路を作っている企業だとします。つまり交通インフラを作る企業となります。そうするとAmazonのような会社が物流サービスを始めたときに道路を使用します。あなたは道路の使用料を要求することもできます。より身近な例をあげると、あなたはAirbnbを使って宿泊先を提供して利益を生み出した際、Airbnbに対して手数料を支払いします。このように我々はプラットフォーマーに対してお金を支払します。
そして、そのプラットフォームが生活のインフラであればあるほど、利用者が増えるため、マーケットも大きくなります。
なぜルワンダには海外から多くの企業や投資が集まるのか
このインフラがそもそもない現状が、多くの企業がアフリカないしルワンダに目をつけている理由です。
当然、何もない=初期コストも莫大になります。そのためインフラ基盤を作る事ができる企業の多くは誰もが知っているような資本を多く持つ企業である場合が多いです。(ミクロ的にはスタートアップが部分的に技術提供をすることも多くあります)
また、環境だけでなく政府の規制や法律、国民性などはビジネスに大きな影響を与えます。ルワンダに多くの投資が集まる理由がここにあります。
ルワンダの特徴
- ITの普及・インフラ整備に力を注いでいる
- 受入れに積極的で規制も厳しく無いので、他国の企業が参入しやすい
- 勤勉で粘り強く、モノづくりに向いている国民性
- グローバルスタンダードの法律・規制の整備
- 安定かつオープンな経済情勢
- アフリカ全体の発展を牽引する中心的存在(地理的にも中心)
- アフリカの人口の70%は農業に従事
ルワンダにおけるブロックチェーンのポテンシャル
これまで挙げた、ルワンダは「ビジネスの開拓領域が広い」、「政府が積極的にIT導入を進めている」、「勤勉な国民性」などの理由からビジネスにおいて非常に大きなポテンシャルを秘めています。また、結果として大きく経済成長しています。
その一方、ルワンダには課題もあります。
ルワンダの抱える課題
- 急速な都市化による交通問題・公害が発生している(自動車の排ガスが顕著)
- 生活に関わる重要なインフラが整ってなく、頻繁に水・電気が突然止まる
- 物流も非効率・不透明で、約束の日に届かない、そもそも届かないといった問題が多々起こる
また、アフリカ全体に視点を広げると、一部の国では以下のようにより深刻な問題も根強く残っています。
- 政治が正しく機能していない -> 先進国からの援助が国民の元に届かないことがある
- 疾病、貧困、そして援助依存という負の連鎖が続いている
- 自分の土地や商売、車などの資産を自分のものと証明することができない
これらの課題はほんの一例に過ぎません。経済発展に余地がある裏側には、まだまだ多くの問題を抱えています。
ルワンダでのブロックチェーン活用
当然、ブロックチェーンがルワンダの全てを変えるわけではありません。しかし中国が先進国の技術を取り入れ、AIの論文数で世界一になるまでに発展したように、ルワンダが次世代のインターネットと呼ばれるブロックチェーンを根本から取り入れ、中国のように発展していくポテンシャルは十分持っているのではないでしょうか。
アフリカ(ルワンダ) x ブロックチェーン
例えば、上で挙げた課題からブロックチェーンを活用することで以下のような、仕組みやサービスが考えられます。
- 銀行口座を持たない農業従事者へのP2P支払い
- 難民・貧困層への直接的な寄付(国際支援)
- 土地や家の所有権の権利証明・保護
- 農業・物流などのトレーサビリティの透明化
日本でブロックチェーン活用する際に考えること(例)
日本では、「ブロックチェーンを使う意味は?」と聞かれた際、以下のように既存のサービスと比較する場合が多いです。
- 「ブロックチェーンを使う意味は?」=「ブロックチェーンのメリット」-「既存のサービスからのスイッチングコスト」
アフリカでブロックチェーン活用する際に考えること(例)
- 「ブロックチェーンを使う意味は?」=「ブロックチェーンのメリット」
アフリカの場合、「ブロックチェーンを使う意味は?」を考える上で、スイッチングコストを考える必要はほとんどありません。
ブロックチェーンでトレーサビリティが向上及び透明化するとなれば、それを阻止しようとする人も当然出るとは思いますが、シンプルに考えると上記にあげたような式が成り立ちます。
なぜBlockcahin EXEがルワンダでブロックチェーンワークショップを?
Blockchain EXEニューヨーク開催
まずBlockchain EXEは「ブロックチェーンへの知的好奇心」を持つ人たちが集まって運営されているコミュニティです。そのため、企業や年齢や国籍は一切関係なく、多種多様な人たちが集まっています。
今回、我々がルワンダに行く理由は「国の近代化にチャレンジているルワンダの人に対し、ブロックチェーンの技術革新が与える影響力を一緒に考えてみたい」と思ったからです。その根源は、これまで挙げたルワンダという国の文化や可能性、魅力が、私たちを惹き付けたからです。
Blockchain EXEが進める海外コミュニティ活動とビジョン
Blockchain EXEはブロックチェーンを使って0→1でチャレンジしたい人が、その実現可能性を最大化できる機会を提供するコミュニティ
Blockchain EXE(ブロックチェーン エグゼ)の”EXE”は英語のExecute、すなわち実行という意味です。海外の知見を日本で共有したり、日本から海外に対して知見を共有するなど、コミュニティの和を拡げ、多くの人がチャレンジできる場作りを行なっています。
ConsenSysと共同ハッカソンの開催
Blockchain EXEがルワンダでできること
ルワンダはまだまだブロックチェーンへの理解が進んでいないのが現状です。そんな中、ルワンダ大学と連携して5日間に渡るブロックチェーンのワークショップを開催し、ルワンダでブロックチェーンへの関心が高まり、面白いチャレンジが生まれるキッカケになればと考えています。
Blockchain EXEの海外ネットワークやこれまでの実績が認められ、世界銀行の支援のもと、ConsenSys、Stellarといった世界トップのブロックチェーン大企業、Ocean ProtocolやWeeveといったベルリンの実力派スタートアップ、日本からはAI×Blockchain事業を手掛けるCouger、法律業務の効率化のためのスマートコントラクト事業を手掛けるケンタウロスワークスといったそうそうたる顔ぶれに参加していただけることになりました。
またルワンダ政府の協力もあり、今回このような大規模なワークショップの開催が実現できました。
Blockchain EXEによる海外開催と日本のコミュニティ活動への還元
ブロックチェーンが世に登場して10年近く経つとはいえ、まだまだユースケースの少ない「未知の技術」であり、ネットや書籍で得られる情報には限界があります。
また、ブロックチェーンの本質の1つは様々なレイヤー、産業同士の「連携」です。だからこそ、この未知の技術について、国内のみならず世界中で何が起こっているのか(起ころうとしているのか)という「現在地」と「可能性」を知ることが重要です。そして、シナジーのある企業・チームが、国境を超えて連携できるキッカケとなる場を提供できるよう、これからもBlockchain EXEは国内はもとより、海外とも積極的に接点を深めていきます。
≫アフリカの途上国が、ブロックチェーン先進国に!? たった5日でコミュニティが立ち上がった「ルワンダ」で何が行われたのか?(前編)