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Blockchain EXE #10 ブロックチェーンによるモビリティの進化 – 世界トッププレイヤーが語る可能性

投稿日:2018年3月29日 更新日:

ブロックチェーンによるモビリティの進化 – 世界トッププレイヤーが語る可能性

ブロックチェーン関連分野における技術共有、発展、応用に重きをおいたMeetupイベントBlockchain EXE。今回は海外から登壇者をお招きし、初の同時通訳対応で開催したイベントレポートをお届けします。

▼目次

  1. 「オープニング」石井 敦 / クーガー
  2. 「Ocean ProtocolとBigchainDB: 分散型データエコシステムの実現」Dimitri De Jonghe / BigchainDB
  3. 「VLBによる自動車産業の変革」Vladimir Lupenko / Vehicle Lifecycle Blockchain
  4. 「ディスカッション:ブロックチェーンによるモビリティの進化」西村 祥一、Dimitri De Jonghe、Vladimir Lupenko、石井 敦(モデレーター)

オープニング / 石井 敦

クーガー株式会社 石井 敦氏
IBMを経て、楽天やインフォシークの大規模検索エンジン開発。日本・米国・韓国を横断したオンラインゲーム開発プロジェクトの統括や進行。Amazon Robotics Challenge トップレベルのチームへの技術支援や共同開発。ホンダへのAIラーニングシミュレーター提供、NEDO次世代AIプロジェクトでのクラウドロボティクス開発統括などを行う。現在、AI x ロボティクス x IoT x ブロックチェーンによる応用開発を進めている。

石井さんからは、モビリティとブロックチェーンの関連性についてお話しいただきました。トヨタがブロックチェーンとモビリティの実証実験を開始したように、ブロックチェーンを使って自動車の運転データを記録・管理することができれば、協調運転が可能になり、事故や渋滞を減らすことができると予想されます。

ブロックチェーンの応用として考えられる用途は3つ

  • 自動車関連のデータ共有
  • カーシェアリング関連
  • 走行実績に基づく保険の適用

走行データや実際に起きた事故データを改ざんできない状況でやり取りできれば、トレーサビリティ、P2Pによる非中央集権的なやり取りなど、自動車を取り巻く環境は大きく変わるだろうと述べていました。

Ocean ProtocolとBigchainDB: 分散型データエコシステムの実現 / Dimitri De Jonghe

Dimitri De Jonghe | BigchainDB
パブリック型ネットワークへの情熱を燃やすフルスタックのブロックチェーン開発者。マイクロエレクトロニクスに応用された機械学習の博士号を取得後、ブロックチェーン上に知的財産を保存する事を目的に、Ascribeを共同創業。
現在は、BigchainDBのアプリケーションディレクターとして、大規模なデータをブロックチェーンで扱うとともに、データマーケットプレイスをブートストラップするOcean Protocolの研究も進めている。ブロックチェーン相互運用性プロトコルであるW3C Interledgerコミュニティの共同議長も務める。

続いてBigchainDBのDimitriさんにご登壇いただきました。

今の時代は原油よりもデータが重要な時代。データがあれば予測ができ、予測ができれば先手が打てます。しかし、私たちの知らないところで私たちのデータが企業に溜め込まれ、その企業の収益化に使われており、自分のデータなのにコントロールができず、忘れる(消し去る)こともできません。

ビットコインでは、リソース提供のリターンとしてトークンを受け取ることができます。ネットワークを最大化しようというのが目的であり、貢献すればその分の報酬が得られます。

次世代のプラットフォームでは Auger, Gnosis, Enigma, Ocean, IOTA … これらはいずれも貢献したことを証明することができ、貢献に対して報酬(トークン)が得られます。そして、個人が自分のデータとオーナーシップを紐付け、承認したり否認したりすることができるようになる「自己主権」が訪れます。

BigchainDBは個人にデータの所有権を与える

BigchainDB はデータに「力」を付与するようです。データは分散化され、ブロックチェーンはアクセスコントロールとして利用します。自分のデータを誰に許可するか拒否するかを管理することができます。

例えば、車の走行距離をレポートするプロダクト。車が自らのデータを所有し、運転手にあらゆる権限を付与することになります。どこを走ったか、走行距離は何kmか等々、外部に伝えることができ、それらの走行データを改ざんすることは出来ません。

例えば、ダイヤモンドを追跡するプロダクト。盗まれたものや不正なものはフラグを付けて追跡することが可能です。インターネット上のブラックマーケットに流れても見つけることができます。

世界に存在するデータ量は推定10億ZB。しかし、その99%はブラックデータで、解析に使われているのはほんのわずかに過ぎないそうです。

拡がるデータの可能性と未来

なぜそんなに「データ」に注目するのか。それは、AI モデルのトレーニングに利用できるからです。データによって精度を上げ、消費の予測・供給の予測をエラー率1%以下で正しく立てることができれば、AIが世の中で役に立ちます。

問題は、データとデータサイエンティストがいないとこれらは機能しないということ。データとデータサイエンティストの両方を持っている企業はとても少ない。なので、Ocean Protocol を通じてデータのマーケットプレイス、そして AI のマーケットプレイスを作ることで、持つ企業と持たない企業の差を埋めたいと考えているようです。

単なるデータではなく、意味のある役に立つデータの配給を促進したい。そのために必要なのはキュレーション。人間がデータの質を判断したり、実際にデータがどう使われ役に立ったかという記録・証明が重要だと述べています。

ポイント

  • 「私の所有するデータを使うならトークンをください」というコントラクトコードを書く
  • 個人はデータを提供した報酬をトークンとして得られる
  • コントラクトは仲介者の役割を担う
  • あらゆる個人が配給者になることで、あらゆることがデータとして見えるようになる

今は企業も国家も中央集権化しています。共有ネットワークに対するコミットをどう得るかが課題ですが、面白いことに、様々な企業の方からBigchainDBにアクセスしてきているそうです。膨大なデータを持つ巨大企業の方が市場を予測できるため、世の中の多くの企業は競争に負けてしまいます。この状況こそが、共有ネットワークへのコミットの理由となるはずだとお話されました。

VLBによる自動車産業の変革 / Vladimir Lupenko

Vladimir Lupenko | Vehicle Lifecycle Blockchain
ロシアの連続起業家。KPMGやロシアのファイナンシャル・アドバイザー会社にて勤務した後、中古車のオークションプラットフォームであるCarPrice社を共同創業。三井物産から投資を受け、現在ロシアと日本で事業を展開している。また不動産のクラウドファンディングサイトのAKTIVOや、フィットネスチェーンのRaketaも共同創業。VLBでは共同創業者かつCOOとして、200兆円にも及ぶ自動車産業の変革を目指す。

続いてのセクションでは、ロシアにて自動車産業に関わるVladimirさんにご登壇いただきました。

ブロックチェーンで市場をアップデートする

自動車整備市場ではまだまだデジタル化は進んでおらず、トレーサビリティも無く、どこが壊れているのか、修理にいくらかかるのか等が不透明なため、ユーザーは常に不安を抱えています。Vladimirさんの手がける CarFix では、そのような不安を取り除き、ホテルの予約をするように車の修理を予約できるようにしたいと考えました。

以前は人が何時間もかけて出していた整備料金の見積りを、今ではWeb上で簡単に出すことができます。さらに、レビューを見ながら整備を行う場所も選ぶこともでき、部品についても信頼性重視の純正か、安さを重視した部品かを選ぶことも可能です。

それら車の整備記録はブロックチェーンを活用して保存します。どんな車をどこで整備したか、どんなパーツに替えたのか。これは保証とも密接に関わっています。保証を受けるために不正な申請が来ることがあり、自動車メーカーや保険会社は詳細に検査をしなければなりません。それらの問題を我々は解決しています。

中古車市場の課題とブロックチェーンの可能性

中古車は新車の4倍の市場規模があります。しかし中古車購入においては、その車の所有者、どこをどれだけ走行したのか、事故を起こしたことがあるかなどの歴史は分からず、非常に情報が少ないのが現状。これをブロックチェーンに記録し提供できるようにします。

保険会社は保険に関する情報を。ディーラーはブロックチェーンに車のナンバーや決済履歴を。整備会社はどの部品が取り替えられたのか、それぞれブロックチェーンに記録していきます。

ブロックチェーンアーキテクチャについては、パブリックチェーンを利用します。取引コストを最小限にするため、決済チャネルが取り入れられていますが、残高の検証は都度ではなく定期的に行います。

このモデルは、日本市場も調査したVladimirさんの考えでは日本にも適用できるそうです。日本では50%が非認定の整備工場で整備されています。大きな市場が残っているとのことです。

パネルディスカッション:ブロックチェーンによるモビリティの進化 / 西村 祥一、Dimitri De Jonghe、Vladimir Lupenko、石井 敦(モデレーター)

最後は、過去にBlockchain EXEに登壇いただいたこともある西村 祥一さん(Comps ITL Pte. Ltd.)も加わり、登壇者全員でのディスカッション。主にハードウェアに関連した意見が飛び交いました。

Q:ハードウェアや製造業が多い日本。Hardware to Digital を進めるにはどうすればいいか?

A:人間には中身をいじることのできないハードウェア(Trusted Hardware)が実現できれば、ブロックチェーンの世界にハードウェアが追いつくのではないだろうか。センサから得た情報を変えることが出来ないセキュアなデバイスを作ることが重要。

A:改ざんできないだけでなく、データの価値も安全に転送できるようにすることにより、マシン同士がコミュニケーション可能になる。これが Industory 4.0 の世界。プライバシーの問題がデバイスレベル、チップレベルにも落とし込まれてきている。ブラックコントラクトをチップ状に作ると、誰も見つけられなくなってしまうということもありうる。

Q:日本のブロックチェーンの強み・個性についてどう思われますか?。

A:日本は通貨としてブロックチェーンを使い始めているので、技術理解のレベルは高いと考えている。次のレベルとして、ブロックチェーンとIoT、ブロックチェーンとハードウェア方面に日本は進むのではないだろうか。

A:日本はクオリティの国。そして、上手く組織化された製造のサプライチェーンがある。ブロックチェーンを適用する場合、持続可能且つ安全なものが求められるが、日本特有の「全ての条件を高いレベルでクリアさせる考え方」が活かされるのではないか。

海外事情が直接聞ける貴重な時間となりました

今回は海外からの登壇者をメインとし、初の同時通訳体制での開催となりました。日本ではブロックチェーンを活用したプロジェクト自体まだまだ少ないため、海外の情報を当事者より直接聞ける貴重な時間となりました。

次回EXE11のテーマは、暮らしには欠かせない電気・エネルギー。実際にプロジェクトを動かしている方々をお招きし「エネルギー供給」がアップデートされる未来の姿を共有します。お楽しみに!

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