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【Blockchain EXE #21 失敗から学ぶ】「Tezosが社会実験を進めていく中での技術的課題」日崎皓太/Tezos Japan

投稿日:2020年2月2日 更新日:

【世界最前線!】スケーリング、スピード、セキュリティの技術的課題や失敗を語る | Blockchain EXE#21

Blockchain EXE#21は、外部企業とのブロックチェーンプロジェクトに従事してきた事業家と共に「ブロックチェーンプロジェクトを成功に導く秘訣」あるいは「失敗するプロジェクトはこんな壁に直面する」などのリアルな情報に迫ります。

目次

「Tezosが社会実験を進めていく中での技術的課題」日崎 皓太/Tezos Japan

日崎 皓太 | Tezos Japan
高校時代から趣味でプログラミングを始め、大学卒業後組み込み系エンジニアとして大手物流業向け在庫管理・決済システム開発。その後工場にてライン改善及びFA化推進、システム開発の傍らTezos技術の社会実装に興味を持ち、2018年よりTezosJapanシニアエンジニアとして啓蒙活動を行う。

日崎: Tezos Japanは創設1年目のNPO法人で、スイスのTezos財団から助成金をいただいて活動しています。Tezosという技術を、日本国内でスマートコントラクトを通じて企業向けのインフラとして使っていただき、競争力の向上を目指しています。Tezosとは暗号資産のことで、ファーストレイヤーの1つです。パブリックなスマートコントラクトの基盤で、ポジションとしてはEthereumと同じです。

Tezosの創業者は、アーサー・ブライトマンというフランス人です。ニューヨーク大学卒で、応用数学やコンピュータサイエンスの学位をもっています。国際情報オリンピックでフランスに初めて銅メダルをもたらしたプログラマーです。元々ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーにいたそうです。この方は、フランスでも注目されているようで、経済・財務大臣のブリュノ・ル・メール氏がTezosのプロジェクトに太鼓判を押しています。

ブロックチェーンのセキュリティ

セキュリティが死亡事故につながりかねない状況になり、Tezosはそれを非常に懸念しています。Tezosではセキュリティ対策として、システムをOCamlという言語でつくっています。これはフランスの国立情報学研究所が開発した言語で、関数型言語だという特長と、形式認証が適用しやすいという特長をもっています。これは非常に信頼性が高い言語で、エアバスのように人命がかかる場所でも使われています。

バグを8割削減

OCamlは言語の副作用がほとんどなく、メモリが後から書き換わり、TrueがFalseになってエラーが起きてしまうというような事態を防ぐことができます。これだけでバグを約8割減らすことができます。また、OCamlには、形式検証という特長があります。形式検証とは、プログラムに数学的なバグがないと言い切るための手法です。形式検証できちんと証明することができれば、安全性を担保することができます。ただし、証明が非常に難しいため、私たちは、ライブラリーとして証明済みのものを増やしていくことで社会的な安全を保っていこうと考えています。なぜここまでするのかというと、数百億円分のEthereumがハッキングによってロックされてしまうというDAO事件が起きたからです。パブリックチェーンは、1度書いてしまうと誰でも攻撃できてしまいますし、消すことができません。その問題を解決するために、パブリックチェーンに書くスマートコントラクト自体を完全にバグがない状態にしようというのがTezosの発想です。

PoSが一般的に使われる事を目指す

Tezosでは、Proof-of-Stakeを使っています。Proof-of-Workはご存じだと思いますが、Nonceを計算して、誰かが最初に見つけたら総取りできるというものです。マシンパワーがより高い人が報酬を得やすいという特長があります。一方、Proof-of-Stakeは競争ではなくて、年間数%という一定確率でトークンがもらえます。トークンの時価総額がそのままセキュリティになります。Proof-of-Workにはビットコインというパブリックチェーンがありますが、Proof-of-Stakeにはまだそこまで分散しているチェーンはありませんので、Tezosはここを本気で狙っているという状態です。Tezosのアルゴリズムは、Liquid Proof-of-Stakeと呼ばれています。これは間接民主主義と直接民主主義を合わせたような考え方で、面倒くさい人は誰かに投票を任せてガバナンスし、面倒くさくない人は自分でも直接投票できるというものです。Tezosはこのガバナンスでこれまで2回アップグレードしたのですが、問題なく合意形成が行われました。Tezosはチェーンが自分で更新していく仕組みになっており、投票でプロトコルが書き換わって、どんどんアップグレードされます。この業界の技術革新の速さに対応しています。Tezosは、財団が30%ほど保有し、活動に助成金を出して支援しているという状況です。現状は約35万のアカウントがあり、6大陸にまたがって約450人のバイデーターがいます。確実にProof-of-Stake世代のパブリックチェーンになっているということです。

質疑応答➀:証明コストについて

質問者D:形式検証で、証明にかかるコストが高いと思うのですがいかがですか。

日崎:一般的なテストの2~3倍はコストがかかると言われています。ただ、1回やってしまえばそのライブラリーとして使えますので、われわれの方針としては証明済みライブラリーを増やしていき、ユーザー側は結合テストだけで済むようにしようとしています。

質問者D:ファンドラップの一部で機能を改修するときに運営するコードは部分的な変更で済みますか。それとも、まるごと改修しなければなりませんか。改修コストを知りたいです。

日崎:基本的には、ブロックチェーンに書き込まれものを取り消すことはできません。ただ、取り消すことができる仕組みをスマートコントラクトでつくることはできます。それはEthereumでもできると思いますが、結構大変だと思います。

Tezosのユースケースについて

最近Elevated Returnsという会社がTezosでSTOをするという話がありました。これが1000億円ぐらいです。最近は高額のSTOでも、大事なトークンが逃げない、セキュリティの棄損でハッキングされてなくならないような、そういったケースで使われることが多いです。なぜかというと、Ethereumでは形式検証がないので不安だからです。実際、Ethereumでも形式検証ツールが出てきていますが、ネイティブ化に対応していないのでコストも時間もかかります。また、CoinbaseがCustodyを600億円、ブラジルのBTG Pactual & Dalma Capitalがセキュリティトークンを1000億円、Alliance Investments & tZEROがイギリスのRIVER PLAZAという不動産のトークン化に600億円、Tezosを利用するなど、着実にユースケースが増えています。これだけで3300億円ぐらいTezos上でトークンがロックされてくるだろうと思います。国内ではStirやSankaがTezosのステーキングの事業をしています。今はStirしかできませんが、ステーキングできるので興味のある方はやってみてください。

Tezosの社会実装での課題について

次に、Tezosの社会実装での課題についてです。課題としてまず、クリプトHypeが終わってしまったということです。リリースがちょうどHypeが終わった後ぐらいで、2018年初頭にローンチしたので、1番おいしいところを経験していません。ただ、私たちとしては淡々とコードを書き続けて、いいものをつくっていくだけです。2つ目として、Tezosはセキュリティや分散性をより重視しているので、どうしてもスピードが遅いです。40TPSぐらいで、スケーリングしていません。私たちは最初からPlasmaのようなセカンドレイヤーに頼って、もっとスピードを出していこうと思い、Crypto economics Labに助成金をお出ししているというかたちです。3つ目は、ツールやチュートリアルが不足しているということです。これも徐々に拡充していきます。今後、簡単な投票アプリを出す予定です。4つ目は、マニュアルが全部英語だということです。私たちがどんなプロジェクトをしているか分からないという方も多くいらっしゃると思います。こちらも拡充予定です。5つ目は、ユースケースが少ないということです。定期的にニュースミートアップなどを行う計画をしており、1年経ったので、財団からもある程度評価を受けています。6つ目は、国内のリスティングです。ホワイトリストに載らないと日本にあまり興味をもつ人はいないだろうということもあるので、現在その取り組みもしているところです。

質疑応答➁:国内における民間企業の取り組みについて

質問者E:Stir以外の国内の民間企業の取り組みについて知りたいです。

日崎:まだStirとSankaの2社しか、ステーキングサービス事業の事例がありません。レギュレーションの問題がネックになっています。具体的には、STOは海外では規制なくできるのですが、日本では4月の法改正で規制ができたからという理由もあります。そのため、日本ではSTOをやりづらいという話を事業者側からも聞いています。

質問者E:つまり、法改正されれば動きやすくなるということですか。

日崎:おっしゃる通りで、パブリックなところでSTOをするということです。私たちはパブリックチェーンであり、プライベートやコンソーシアムではないということです。日本はコンソーシアム型が多いのですが、やはりより多くの方に価値を認めてもらったほうが価格は上がりやすいと思うので、そちらのほうに移っていくと思います。

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