エンタープライズ領域におけるブロックチェーンニュースをピックアップ

目次

  • 最近のブロックチェーン業界の動向
  • 近年のブロックチェーンの定義
  • エンタープライズ領域でのブロックチェーンの動向

Blockchain EXE TVと題して、初のオンライン開催となりました。

ブロックチェーン業界でいま何が起きているのか?エンタープライズ領域で活躍するスピーカーをオンラインに招き、最新のホットトピックを中心にディスカッションを行いました。

1.最近のブロックチェーン業界の動向

  • 平山毅  日本IBM株式会社(以下:平山)
  • 山田宗俊 SRI R3 Japan株式会社(以下:山田)
  • 伊藤佑介 博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ (以下:伊藤)
  • 石黒一明 Enterprise Ethereum Alliance Japan Regional Head(以下:石黒)
  • 石井敦  クーガー株式会社(以下:石井)

伊藤:今日はエンタープライズ領域に関して皆さんが感じている雰囲気や意見を聞きたいと思っています。ブロックチェーンは仮想通貨の中から抜けてきていて、企業が今後どういう物として取り組むべきなのか、経営層が理解してその課題にフィットした形でやらないと意思決定されない中で、デジタルトランスフォーメーションのくだりでブロックチェーンに取り組む意義を語ったり、その一環として進めているというのをよく聞きます。そういった企業側の課題としてのDXの解決手段のひとつとして捉えているのか、そのあたりで皆さんはどのように感じられていますか?

石井:ブロックチェーンを前面に出すというよりはデジタル化という文脈で何を使うかとなった時にブロックチェーンに自然に見えてきてるなっていう感じはしますね。

石黒:私がEEAをやり始めたころは「とりあえず他社がやってるからウチもやりたいんだけどどうなってるの?」みたいな探りを入れる感じの人達が多かったんですが、実際に海外などで現実的なアプリケーションが出たり、時流のせいもあってブロックチェーンの必要性はかなり上がってきているように感じます。

新型コロナウィルスの影響

伊藤:時流というとどういった事に時流を感じますか?

石黒:コロナが一番大きいとは思いますけど、国が閉鎖している中で情報が錯綜している状況で、本当に信頼できる情報はどこから出るんだろうとか、本当のものを発信する人へのインセンティブなどを改めて考えるようになったかなと。

石井:それは僕もすごく感じます。コロナってみんなが情報をすごく気にするんですね、気にするんだけど一次情報、二次情報と編集されまくる。専門家もいればコメンテーターやそれらしい事を言う人など、いかに一次情報にアクセスする事が難しいか。情報経由されているうちにその信頼できないデータを皆真に受けているんです。

承認プロセスの改善

伊藤:デジタルの中である程度信頼が担保されなくても、リアルな場–例えば会社などで人と人との対面という形で信頼が担保されていました。ですが、デジタルでの活動が増えたことで、もはやデジタルの中での信頼性というのが必要となってきています。ブロックチェーンの「改ざんされない」「消去されない」というところが、平時ではどういうシーンで活躍するんだと言われてきていたのが、今の状況で変わってきてますね。

山田:今はブロックチェーンは手段の一つと受け止められていて、DXの一部だと認識されている。お客様ももっと現実的な課題などを話すようになってきていて、昔と比べると理解が深まっているのを感じます。

コロナの関係で言いますと、この後景気対策でどう対応していくのかが議論されていますが、これをブロックチェーンの文脈で考えた時にディテール向けのCBDCを、例えば給付金のような形で使うとどのように使われたかが分かり、ちゃんと経済に役に立っているかなどが分析できる。アフターコロナの時期には実装は間に合わないでしょうが、そういった使い途が見えてきている。

伊藤:確かにこういった状況だと、渡したものの価値がちゃんと滑らかに回るというのは非常に重要ですね。

石井:昔は価値をわざわざデジタルで回さなくてもと言われていましたが、今のような状況になってくるとデジタルのみでのやり取りが必要となってきている為、ブロックチェーンの本来のコンセプトである価値の移転と非常に相性が良いと思いますね。

平山:今一番ホットなのはDX絡みが多く、承認プロセスをしっかりしたいというニーズにすごく合っています。実際に印鑑を押しての書類のやり取りができないという事で、その代理でブロックチェーンに置き換えたいとなっています。

パブリックの場合だとグローバル通貨の話になりますが、今はグローバルに行けないのでどうサプライチェーンを回していくか、承認プロセスをどう改善していくかという事になる。

2.近年のブロックチェーンの定義

石黒;皆さんはブロックチェーンに関して印象ではなく定義としてどう変わってきていると思われますか?

伊藤:例えばノードが4万あればパブリック、数十ならプライベートという数字で分けるのは違うと思っていて、何の価値を移送するのかが重要で、仮想通貨に代表される通貨というのは全世界の人が対象で、一方流通などは参加するのはそれに関連する方達であったり、そういった目的とその関連する人というのが重要でパブリック・プライベートの境目は無くなってきていると思う。

石井:ブロックチェーンは3年くらい前は解釈の幅が相当広かった。その時は毎週のように新しいブロックチェーンが出てきていて、それを皆試していた。今は新しいものが出てきても試さなくなってきている。もう大体一周してみんな落ち着いてきていると感じます。

課題設定が大切

伊藤:今は新しいものを試すというよりは、事例が多くあってどういったケースでどのような課題が出るとかここは押さえておくべきだなどの情報が確立されているものが実際のエンタープライズなどで使われている。

山田:定義というよりは現実に発生している課題を解決するプラットフォームなのかどうかが重要なのかなと思います。

石黒:平山さん、IBM・オラクル・WHOのプラットフォームについてお伺いできますか?

平山:あれはコロナに対応して出したサービスで、Hyperledgerベースでコロナ対策をするという事で出しました。実は3年前にパブリックブロックチェーンに対抗して作り始めたものなんです。アプリケーションレイヤーに特化していて例えばSARS級のトレーサビリティをチェックする機能などが入っていたりして、それを今回コロナをきっかけとして出したんです。

上のアプリケーションに関してはどのベンダーとも組める様になっていて、ハイパーレジャーベースを支援しているベンダーならば、どことでもコラボレーション可能です。

山田:アプリケーション部分に関しては色々なベンダーと組んでという事ですが、クラウドに関してはどうなっているんですか?

平山:2018年にRed Hatを買収した時に新しいプラットフォームに変えました。それにより非常にプラットフォームの安定度が増しました。

ハッキング耐性とは

伊藤:ここでオーディエンスの方から質問が来ているので読みますね。「エンタープライズブロックチェーンはハッシュチェーンにより可視化されたRDB等よりも外部攻撃による改ざん耐性が強いと思いますが、ハッキングなどには耐性が無く、企業への信頼コストの問題などは解決できないと思うのですが、そのあたり現状はどう評価されているのでしょうか?」

平山:その通りです。基本的には証明書サーバーをブロックチェーンネットワークに入れていて、管理者をどういった形で置くかという事で信頼が変わっていくと思います。

IBMはどこのプラットフォームでも動かせるので、例えばメインフレームをLinuxで動かしてセキュアーな仕組みにしてしまうといった事が出来ます。

山田:Cordaでは個別のネットワークに上位レイヤーみたいなものがあって、その上位レイヤーで認証等やり取りできるようになっており、また内部で攻撃されてもすぐに分かる仕組みになっています。

石黒:イーサリアム2.0へのアップグレード版になると、コンソーシアムがメインネットに繋げた状態で運用できるというような設計がされています。もしコンソーシアム内部でハッキングみたいなものがあったとしたらメインネットにぶら下がっているチェーン自体が価値が無くなってしまうので、インセンティブをそもそも働かなくさせる思想があったり、インセンティブメカニズムの設計をしてハッキングする気を起こさせないようにしようなど議論しています。

石井:ノードが増えれば特定の人が改ざんするのは難しいという所で耐改ざん性を上げて対応していくという感じですかね。

伊藤:ブロックチェーンは耐改ざん性とかだけではなく、何を目的にするかというのもあるし、ノードの数が多いという信頼度という面もあります。

3. エンタープライズ領域でのブロックチェーンの動向について

伊藤:ここからはブロックチェーン関連のニュースをピックアップして皆さんで読み解いていきたいと思います。

石井:まずはアリババ、テンセントがブロックチェーンをかなり進めているというものです。中国では既に実験どころか実装しているといった感じですね。アリババがアントブロックチェーンを開発したりファーウェイが暗号資産に対応したスマホを開発しています。

主に中国で使われているのは金融・保険・知的財産・物流・貿易・医療といった分野のようですね。

中国ではいろんなものが信用できないという状況で、信用できるものをどう作るかという視点でおそらく作ったんでしょうね。日本は潔癖症なところがあって、「完璧なものでないとなかなか受け入れられない」という部分があるんですが、中国はプラスになるなら受け入れる。まさに巨大エンタープライズと呼べる様な部分にエンタープライズブロックチェーンのヒントがあるんじゃないかと思うんです。

山田:私は中国が・・というよりはデジタルバンクに対して脅威を感じますね。デジタルバンクといえば支店が無い、人件費が無いというのもありますが、我々が意識する部分としてはレガシーシステムが無いという部分ですね。デジタルバンクであればバランスシートマネージメントの様な形で貸し出しを増やす・減らすといった時にそれがトークン化されていれば容易にできる、事業保留を迅速に組み替えて動く事ができる。こういった速さというのが現行の金融機関と比べて圧倒的で脅威だと思いますね。

石井:エンタープライズを考えた際にレガシーとの闘いというものは結構あるなと思います。

石黒:中国だからという訳ではないんですけど、僕は結構楽観的に考えています。

ブロックチェーンが出てきた時はスピードと資金力が重要と言われていたが、それが一変してきていると感じています。スピードよりも信頼を優先しようという感じ…

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