BlockchainEXE ニューヨーク運営
Tomoyuki Kage

なぜBlockchain EXEがSFへ?

こんにちは!Blockchain EXEの米国スタッフのカゲと申します。普段はニューヨーク在住なのですが、今回はBlockchain EXE @ San Franciscoをお手伝いする為、サンフランシスコへいってまいりました。

Blockchain EXEの発足からまだ一年も経っていないのですが、早くも海外での開催が2回目です。しかも前回のニューヨークでの開催(1/7/2018 Blockchain EXE at NYC)から2ヶ月後にこのサンフランシスコで開催という急ピッチ。しかももう海外3回目として5/9にトロントでのBlockchain EXEも開催が決定しています。

さて、今回の3/20のBlockChain EXE @ San Francisco のイベント自体のレポートの前に、そもそも何故、我々はこの地、サンフランシスコへやってきたのかということを考えてみたいと思います。

早くも海外開催も2回目!ConsenSys & Blockchain EXE in San Francisco「ブロックチェーンとスマートシティ」

▼目次

1、何故サンフランシスコでBlockchain EXE ?

サンフランシスコはアメリカの中でもテクノロジー系のスタートアップが多い都市、いわゆるシリコンバレーとして、歴史的にも有名ですよね。サンフランシスコの周辺地域にはGOOGLE, Apple, Paypal, Uber, Airbnbなどの名だたるテック系企業のオフィスがあることでも昔から有名です。(HQは何故かタックスヘブン・・・まーそれは置いておいて)ここ最近はサンフランシスコのブロックチェーンのスタートアップが多いだけでなく、彼らの動向が常に注目されてきています。

今回、ブロックチェーン関連技術者のお仕事探しという目線と、サンフランシスコ特有のIT企業への投資や案件自体の注目度で眺めてみたいと思います。また、ブロックチェーンに関する企業の活動内容を見てみることで、今のサンフランシスコのブロックチェーン最新事情が垣間見れると思います。

2、Angel.coの求人情報からブロックチェーン関係の求人企業のフォロワー数を分析

Angel.co という米国のスタートアップの仕事を募集しているサービスの”ブロックチェーンスタートアップ”というカテゴリーで見てみましょう。

これを募集がありなしではなく、Follower 数でソートして順位をつけてみました。募集数ではなく、フォロワー数というのがミソなんです。フォローワー数での順位ということだけなので、このランキングは会社の良い悪いとかいうことではないことをご了承ください。

1位はダントツでConsenSys (NY)

前回のBlockchain EXE NYでも今回の Blockchain EXE SF でもコラボレーションするNYはブルックリンを拠点とするブロックチェーンの開発で世界で一番有名な会社です。

ConsenSysについては7、Blockchain EXEと一緒にイベントを行うConsenSysについて で細かく紹介しています。https://new.consensys.net/

2位にクラーケン(SF)

2011年創業のサンフランシスコベースのビットコインやアルトコインの両替サービスです。https://www.kraken.com/

3位にPolychain Capital (SF)

サンフランシスコベースのクリプトヘッジファンド。ウェブサイトを見ていただくとわかりますがクリプトヘッジファンドなんで基本的に詳細は公開されていません。ちなみにサンフランシスコにはクリプトヘッジファンドが物凄い数存在しています。http://polychain.capital/

4位 Coinlist (SF)

こちらもSFの会社です。ICOのプラットフォームを提供する会社です。https://coinlist.co/

5位 Filament(デンバーの会社)

IOTとブロックチェーンに特化したハードウェア系スタートアップです。Blocklet Chip™というチップを使ってIOT分野でBlockchainを使おうというかなりIOTxBlockchainの先駆者のうちの一つだと思います。https://filament.com/

6位 Blockstack (NY)

Blockchainを使ったインターネットというコンセプトでブラウザ、Dappのプラットフォームなどを提供しています。SFで有名なY-cominatorとNYのユニオンスクエアベンチャーがシードラウンドあたりからサポートをしているというITベンチャーとしてもとても優等生な会社です。https://blockstack.org/

7位 Ripple (SF)

仮想通貨のXRPでご存知な方も多いはず。RIPPLEは2012年創業のSF発の支払いの円滑化に特化した仮想通貨XRPを発行する団体です。

ブロックチェーンを使った支払い送金系の会社としては最も有名な会社の一つと言えるでしょう。我々がサンフランシスコに行った際には丁度タイミングよく、ミートアップが開催されていて、かなりの人気でした。

6、サンフランシスコではBlockchain系ミートアップも盛りだくさんhttps://ripple.com/

8位 Chain (SF)

Chainは2012年創業のSF発のブロックチェーンでの金融インフラを構築している会社です。https://chain.com/

9位 Purse (SF)

アマゾンの商品をビットコインで購入や個人で販売もできるということで話題になったサービス。こちらもサンフランシスコベース。https://purse.io

10位 Wyre (SF)

ブロックチェーン送金系サービスを提供しています。中国や香港などの特にアジア圏の送金に対応しています。https://www.sendwyre.com/

サンフランシスコの豊富なブロックチェーンスタートアップ

Follower数つまり、注目度のランキングで見たときに10位以内にサンフランシスコのブロックチェーンスタートアップが7つもランクインしているという圧倒的な割合。ただ、必ずしもスタートアップの数とは比例するとは言えませんが、かなり注目されていることがこの数字から見ることができます。

3、開発系だったらお任せのGrassdoorでブロックチェーン企業を探す

また、特にDapp(DeCentirised app)開発系の方やちょっとクールな仕事を探すときに使うのはIndeedではなく、Grassdoorだったりします。ここでのブロックチェーン絡みの会社の数を調べてみましょう。

サンフランシスコのBlockchain Companyは12件

また比較して、ニューヨークはというと、12社 もちろん ConsenSysも含まれています

かなり母数が少ないですが、サンフランシスコとニューヨークの会社はほぼ同じと言えます。

4、dice.comでブロックチェーンの求人数をアメリカ州別で分析

Blockchian NYC Meetup というミートアップの団体が2018年4月に独自でブロックチェーン関連の仕事の調査を行なったそうです。方法としては私のやり方と非常に似ているのですが、dice.comというアメリカ全土を網羅して求人を閲覧できるウェブサイトでこのウェブサイト内で求人を調べたそうです。この資料が面白のは、Blockchain, Solidity, Etherum, HyperLedger という4つのカテゴリーに分けて数字を出しております。

ニューヨークの団体なのでおそらくニューヨークに特化して調査した可能性があるので一概にフェアと言えるかどうかは難しいところがありますが、ここでもアメリカの全州の中でもサンフランシスコはEthereum、そしてSolidityの仕事が最も数があるという結果が出ています。


データソース:https://goo.gl/wP3xF3

5、2018年のForbes 50 でサンフランシスコのブロックチェーン企業を探してみる

ちょっと探し方がマニアックになってきたので、もっとマスメディアからの情報を引用してみましょう。世界有数の経済紙であるFORBESには毎年いろんなランキングをつけることで有名です。Forbes50 for 2018にはなんと50の中に11もブロックチェーン、仮想通貨系の会社が入っているそうです。

その中でもサンフランシスコに関わりがある会社が非常に多いことがわかりました。どんな会社があるのか抽出してみたいと思います。

CHAIN

前述のChainは2012年創業のSF発のブロックチェーンでの金融インフラを構築している会社です。https://chain.com/

COINBASE

COINBASEは2012年創業のSF発のアメリカでも最大規模の仮想通貨の両替所です。

筆者もクリプトの相場をチェックするときはいつもCoinbaseのチャートを見ております。https://www.coinbase.com

RIPPLE

前述のRIPPLEは2012年創業のSF発の支払いの円滑化に特化した仮想通貨XRPを発行する団体です。https://ripple.com/

VEEM

veemは2014年創業のSF発の海外送金に特化した会社です。https://www.veem.com/

ROBBINHOOD

robbinhood はPalo Altoというサンフランシスコとサンノゼの間にある地域発の個人投資に特化したアプリを開発している会社で仮想通貨での取引にも参入しております。https://www.robinhood.com/

Xapo

Xapoという元々香港ベースのコールドウォレットの会社ですが、現在はPalo Altoとチューリッヒを本拠地にしています。

私が見つけたのはこれらの企業のみですが、メインの業務以外でもブロックチェーンの部署を作ったりしている企業というのもありましたが除外させていただきました。https://xapo.com/

6、サンフランシスコではBlockchain系ミートアップも盛りだくさん

サンフランシスコで、meetup.com、もしくはeventbrite.comでサンフランシスコ界隈のブロックチェーン関連のイベントを調べると、Blockchain関連、仮想通貨関連のミートアップが日々行われていることがわかります。

今回、Blockchain EXEの前日に1日だけ空きがありましたので、バークリー大学で行われていたミートアップに参加してまいりました。イベント情報

登壇者としてはEarn.comのCEO Balaji Srinivasanさんと、上記のオフィシャルのウェブサイトには掲載されていませんがなんとRIPPLEからAsheesh Birlaさんというお二人が登壇されていました。

本当はRippleのAsheeshさんの話を聞きたかったのですが、間に合わずBalajiさんのearn.comに関するシンプルなユースケースに関する発表とQ&Aのみ聞くことができました。

盛り上がるアメリカのディスカッション

一番驚いたのは、Q&Aを30分以上、45分くらい行なっていたのではないかということです。

生徒さんや生徒さん以外からのかなり鋭い質問にもお二人はかなり的確に、丁寧にお答えされていました。日本と違って、アメリカでは質問をすることはその集まりに貢献すること、ということで、こういったミートアップではとても重要とされています。日本だったらそんな長い時間Q&Aが続かないですよね。カルチャーの違いというよりは教育の違いというのをひしひしと感じました。また、登壇が終わった後でも登壇者への質問のために行列ができるという状態です。これは次の日のBlockchain EXE でも同様の現象が起きていました。

7、Blockchain EXEと一緒にイベントを行うConsenSysについて

これまであまりConsenSysさんのことを掘り下げて書いたことはなかったので、ここで参考までにConsenSysさんのことを紹介したいと思います。

ConsenSysとは?

ConsenSysはイーサリアムのファウンダーの一人として有名なジョセフ・ルビン氏が立ち上げたNYを拠点とするブロックチェーンを用いた開発とコンサル業務をメインに手掛けるフィンテック企業です。”Decentirized Wolrd”というコンセプトを実現するために様々なアプリケーションを開発したり、企業や公共機関をサポートしております。

非常に多岐に渡るプロジェクトを進めており、既にスイスのチューリッヒで手がけた Zug ID、ドバイのスマートシティ計画、ビジネス分野では、ViantadChain、エネルギー分野ではGrid+Veridiumなど素晴らしい結果を出し続けております。

ConsenSysのサンフランシスコのオフィスの近くは治安は若干微妙な気がしましたが、デジタルガレージのDG717もあったり、テック系スタートアップが沢山集まるホットな地域でした。

社長のJosef Lubinさんについて

ConsenSysの社長、カナダ人。イーサリアムの初期の発見者のひとりで、仮想通貨イーサリアムのエコシステムにおいて、ブロックチェーンを使用し、仮想通貨の保持と移動を蓄積し記録するアプリ「decentralized applications (通称:dApps)」を構築し、いイーサリアムを使ってdecentralized Web 3.0を実現しようとしているとても野望に溢れた方。実は元々ミュージシャンだったそうで、2008年、金融危機にショックを受け、これまでの経歴を捨て南米ジャマイカへ音楽活動をする旅に出たそうなんですが、その1年後に出版されたビットコインのホワイトペーパーから彼の思い描いていた仮想通貨「イーサリアム」のシステムの構築方法のヒントを得て、音楽のキーボードを捨て再びキーボードの世界に戻ってきたという風に語り継がれているそうです。

今回のサンフランシスコに行った際にたまたまConsenSysのジョセフルビンさんがプライベートパーティをするということでやってきたエリアはオシャレなんだか危ないんだか、とりあえずAWSOME! な絵が建物に描かれてました。ちなみにそのパーティ自体は満員で入れませんでした・・・

ドバイの国をスマートシティプロジェクト

ConsenSysさんの仕事の中でも今回最もフォーカスしたいのは、ドバイの国をスマートシティにするサポートを行なっているということです。

脱・石油を目指す中東においてドバイは他に抜きん出ている存在です。リーマンショックで外資頼みだった自国の弱さを痛感したドバイは、2000年初頭から取り組んできた電子政府化をさらに進めるスマートシティ化を決断します。2015年にはスマートシティの世界一を目指し「スマート・ドバイ」イニシアチブを発足。国内だけでなく、ドバイを訪れる全ての人が利用できるインターネットサービスを提供することが目的です。

また、ドバイは2020年までにブロックチェーン技術を政府に導入することを発表。この安全で効率的な「スマートドバイ」プロジェクトのパートナーとしてIBM、アドバイザーとしてConsensysを選んだのです。http://www.smartdubai.ae/

イーサリアムとエンタープライズイーサリアムアライアンスについて

ConsenSysさんを語る上で社長のジョセフさんが開発に関わっていることもあり、イーサリアムは切ってもきれない関係です。イーサリアムはジョセフさんとヴィタリックさん@VitalikButerinnと共に進めてきたプロジェクトです。イーサ(Ether)という仮想通貨としてのイーサリアム(Ethereum)をご存知の方はとても多いと思いますが、開発者にとっては、ユーザーが自身で定義をすることができる”スマートコントラクト”を使ってアプリケーションを開発できるというビットコインにはできない”仮想通貨のアプリケーション化”ということができることが通貨であることよりも特徴だと思います。

イーサリアムのことと共に、非常に重要な団体でもあるイーサリアムアライアンス(通称EEA)についても書いておきたいとおもいます。EEAは仮想通貨イーサリアムを用いたエコシステム構築において、企業、専門機関などのサポートを行う非営利団体です。企業がブラックチェーンを採り入れる際の指針や、運営について助言を行ったりしています。500を超える企業や団体が所属しています。日本では三菱UFJフィナンシャルグループ、トヨタや、Blockchain EXEの代表の石井の会社COUGERや、 米国でもイーサリアム関連のニュースでも話題になったBlockchain EXEの副代表の茂谷が在籍しているKDDIも加盟しております。

また、イーサリアムの最新情報として、来月5月にトロントにて行われるEDCON (Community Ethereum Development Conference) (https://edcon.io)はイーサリアムを普及しようということで行われる非常に重要なカンファレンスといわれています。Ethreumを語る上で外せない、このジョセフさんやヴィタリックさんなど沢山の著名人がトロントに集まります。

また、この大会のメインイベントとして、世界中のエントリーから選抜された10チームが会場でSUPERDEMO というプレゼンテーションを行います。なんと、そのチームのひとつにBlockchain EXE代表のクーガー石井氏が選定されたのです!

この10人が選ばれる選定は非常に厳しいということで有名でその10名の中に選ばれたことは大変すごいことだと思います。

また、このタイミングに合わせて2018年5月初旬にはトロントでのBlockchain EXEも計画されております。さらに、ニューヨークでも2018年5月中旬に行うことも話し合われているところでございます。参考

8、結論:サンフランシスコでBlockchain EXE をやる意義

今回も前回同様にConsenSysさんとコラボでサンフランシスコという地でミートアップを共催することができました。ConsenSysさんはニューヨークやサンフランシスコだけでなく、あらゆる地域にコミュニテイを形成して、ブロックチェーンを使った問題解決と技術の発展を試みています。

また、このサンフランシスコには前述の通り、ものすごく沢山のブロックチェーンのスタートアップがあり、挙げた会社以外にも有名な会社が沢山出てきております。

2016年にはサンフランシスコでSmart City Challengeというイベントも催されていたこともあり、サンフランシスコではスマートシティの土壌がすでに形成されているといってもいいほど馴染みのある街です。今後はブロックチェーンの企業と共にさらに新しいアイデアが実現されスマートシティ化が進んでいくことが予想できます。

日本では、昨年の2017年は仮想通貨元年と言われるほど仮想通貨そのものや、取引所、両替所、決済や送金などの分野がもてはやされてきましたが、今後はもっとブロックチェーンの技術そのものを使って実社会にも通用するサービスがどんどん出てくることが予想されます。

ブロックチェーンを実社会で使おうという動きの一つがまさにスマートシティであり、IOT、ブロックチェーン、AIというキーワードが今後どんどん重要度が増すことは明らかです。

今後の日本の将来を見据えることは、実は世界の将来を見据えることとなんら変わりないということは今回のBlockchain EXE @ Sangransico をおこなってって感じたことのひとつです。

それでは、下記のリンクよりイベントのレポートもご確認ください!

早くも海外開催も2回目!ConsenSys & Blockchain EXE in San Francisco「ブロックチェーンとスマートシティ」

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