ビットコインの歴史

仮想通貨の歴史は浅いものの、多種多様な仮想通貨が生み出されており、その数は何千種類に上ります。その中でも、仮想通貨の元祖であり、最大の時価総額を誇っているのがビットコインです。

ビットコインはどのように誕生し、どのように成長してきたのでしょうか。その歴史をみていきましょう。

▼目次

  • ビットコインの誕生
  • 初めてのビットコイン取引
  • ビットコインへの政府機関の反応
  • マウントゴックス事件
  • ビットコインの半減期について
  • ビットコインのハードフォーク
  • まとめ

ビットコインの誕生

ビットコインの誕生は、2008年10月31日と言われています。ナカモト・サトシなる匿名の人物が、インターネット上で発表した論文をもとに、有志となるエンジニアが集まり開発が開始しました。

ナカモト・サトシの正体は未だに不明です。日本人名ですが日本人であるかどうかも分かっていません。ビットコインSVを率いるクレイグ・ライト氏がナカモト・サトシを自称していますが、これは虚偽であるとの見解が一般的です。

初めてのビットコイン取引

ビットコインが初めて現実世界で通用する通貨としての価値をもったのは、2010年5月22日のことです。フロリダのプログラマーが「ビットコインでピザを注文したい」とビットコインの開発者のフォーラムに投稿したのがきっかけでした。その投稿に応じたピザ屋がいて、「ピザ2枚=1万BTC」で取引が成立します。 ただのデータだったビットコインが、初めて現実の「モノ」と交換でき、価値を持った瞬間です。

現在、ビットコイン価格は1BTC=100万円を超えていますが、誕生間もない当時は1BTC=1円以下だったのです。

ビットコインへの政府機関の反応

ビットコインは、非中央集権的な仕組みを持っていることに特徴があります。特定の政府や機関が管理する法定通貨は、中央集権的な仕組みによって運営されています。ビットコインは、そのような仕組みへのアンチテーゼとして生み出されました。

このような理念があるため、世界的にはビットコインに否定的な流れが続いています。法定通貨経済への脅威になりかねないため、各国政府や中央銀行は基本的に否定的な立場にあり、トランプ大統領に至っては自身のツイッターでビットコインを詐欺と断定したこともあります。

中国政府の立場は一層明確です。中国は共産主義であり、国内経済を画一的に支配する必要があります。このため、非中央集権的であり、政府が制御できないビットコインが普及し、統制が利かなくなることを恐れているのです。

2017年9月には、中国政府は仮想通貨を全面的に規制することを発表し、仮想通貨市場が混乱したこともあります。

このほか、価格変動が激しく投機性が高いことから、米国SECなどでは投資家保護の観点からビットコインを認めておらず、ビットコインETFの申請も全て却下されてきました。

マウントゴックス事件

各国政府や中央銀行、SECなどの否定的な立場にも影響している、ビットコイン草創期の大きな事件として、マウントゴックス事件が有名です。

これは、2014年2月、仮想通貨取引所であるマウントゴックスが、ハッキングによって75万BTCを奪われた事件です。

事件の真相は明確にはわかっていませんが、取引所のセキュリティに問題があったのは事実でしょうし、内部犯行としてマウントゴックスCEOが逮捕されることで収束しています。つまり、ビットコインの機能自体に問題があったわけではありません。

しかし、多くの人々にとってビットコインがよく知られていない時期に起こった事件であったため、ビットコインを「疑わしいもの」「信用できないもの」というイメージを植え付けることとなりました。

ビットコインの半減期について

以上のことに加えて、ビットコインの歴史を知るうえで大切なのが「半減期」です。

半減期とは、ビットコインをはじめ仮想通貨のマイニング報酬が半分になるタイミングのことです。

仮想通貨の発行総量には上限があり、ビットコインならば2100万BTCを上限としています。この発行上限にむけて、21万ブロックが生成されたタイミングでマイニング報酬を半減させていきます。

最初期のマイニング報酬は50BTCでしたが、2012年の半減期に25BTC、2016年の半減期に12.5BTCと半減期を迎えてきました。次回の半減期は2020年5月とされており、マイニング報酬は6.25BTCに減少します。

1ブロックの生成速度が約10分であるため、21万ブロックの生成にかかる時間は約4年間となり、半減期の目安と考えられています。

半減期とビットコインの希少性

マイニング報酬が半減すれば、市場に新規に流通する量も減少します。ビットコインが普及することで、供給量が限られる中で需要が増えていけば、ビットコイン価格も上昇すると考えられます。

なお、後述のビットコインキャッシュにも半減期があります。発行総量と半減期のタイミングはビットコインと同じですが、ブロックの生成速度が異なるため、半減期のペースが多少前後するのが特徴です。

このため、ビットコインキャッシュの次回の半減期は、ビットコインよりもやや早い2020年4月に予定されています。

ビットコインのハードフォーク

仮想通貨では、しばしばハードフォークというものが行なわれます。これは、ブロックチェーンが途中で分岐することによって、新たな仮想通貨が生まれることといいます。

ハードフォークは、仕様変更に伴って行なわれます。多くはセキュリティやスケーラビリティ(ブロックの容量)の問題を解決するために行なわれますが、問題解決やアップデートに伴う仕様変更の際、その仮想通貨コミュニティ内で意見が対立した場合に、仕様の異なる新しい通貨が生まれるのです。

ビットコインの歴史は、ハードフォークの歴史であったとも言えます。ビットコインのハードフォークによって、現在までに70以上もの仮想通貨が生まれています。

ビットコインキャッシュ

ビットコインのハードフォークの中でも、最も有名なものがビットコインキャッシュです。このハードフォークは、2017年8月1日に実施されました。

ビットコインキャッシュは、基本的な仕組みはビットコインと変わりません。しかし、当時のビットコインは送金遅延の問題を抱えていたため、これを解決すべくブロックサイズが1MBから8MBに拡大するためにビットコインキャッシュが生まれました。

ビットコインキャッシュもハードフォークへ

さらに、2018年11月にはビットコインキャッシュでもハードフォークが起きています。ビットコインキャッシュのコミュニティ内における技術上の対立によって、ビットコインABCとビットコインSVという通貨に分裂することとなりました。

ビットコインキャッシュの元々のティッカーであるBCHはビットコインABCが引き継ぐこととなり、現在一般的にビットコインキャッシュと呼ばれているものがビットコインABCにあたります。

生き残りをかけた人間同士の争い

このハードフォークに伴い、ビットコインABCとビットコインSVのコミュニティが激しく争いました。これは、分裂後に互いの通貨が並行して存続するためのリプレイプロテクションという機能が、ビットコインキャッシュに実装されていなかったためです。

このような場合、より長いチェーンを持つ通貨を真の通貨としてみなすことになります。どちらかしか生き残れない状況に陥ったため、両コミュニティがブロックを伸ばすための競争を展開しました。

結果的には、ビットコインSV側がリプレイプロテクションの設置を宣言したことで、この争いは終わることとなりました。

しかし、この問題は見方によって、コミュニティ同士の争いという人為的なものによって仮想通貨の存続が左右されるとも解釈できます。本来非中央集権的であるべき仮想通貨の特徴を損なうことになりかねず、また実際に多くの仮想通貨価格に大きな影響をもたらしたため、大きな問題となりました。

その他のハードフォーク

このほか、ビットコインでは多くのハードフォークが起こっています。比較的よく知られているものを挙げると、ビットコインゴールド、ビットコインシルバー、ライトニングビットコイン、スーパービットコイン、ビットコインダイヤモンドなどがあります。

もっとも、ビットコインのハードフォークによって生まれた仮想通貨のうち、ビットコインキャッシュ以外はその後大きな話題にはなっていません。

ビットコインでは、今後もたくさんのハードフォークが起こる可能性がありますが、ビットコインキャッシュほどのインパクトは期待しにくいでしょう。

まとめ

サトシ・ナカモト氏が投稿したひとつの論文が世界で流通する通貨にまで成長しました。2008年、1BTCが1円未満の価値だったビットコインが、今では80万円台で「苦しい状況」と言われるほどです。 まだまだ不安要素や大衆からの批判はたくさんあり、短期的な相場の予測はあまり意味がないと言えますが、日々進化を続けているビットコインの将来は非常に楽しみと言えます。

おすすめの記事