第四回ブロックチェーンイベント

ついにEXEも4回目を迎えました。今回も100人を超える参加者にお集まりいただき過去最多の参加者数となりました。ブロックチェーンへの関心が高まってきているからこそ、実践知を通じたコミュニティをEXEは形成していければと思います。

今回のトピックは“ブロックチェーン技術の活用ポイント“です。既存技術とブロックチェーンがどう絡んでいくのかというところに焦点があてられました。

▼目次

1.ブロックチェーン最新情報

最初の登壇者はEXE代表の石井氏です。

石井氏はライコス・インフォシーク・楽天の大規模検索エンジン開発やオンラインゲーム開発プロジェクトの統括や進行に関わった後、ホンダへのAIラーニングシミュレーター提供、NEDO次世代AIプロジェクトでのクラウドロボティック開発を行っています。

オープニングトークで石井氏の自己紹介とEXEの基本理念にも触れながら話が始まりました。

冒頭に2008年からBTCの影響でよく知られるようになった、いわゆるパーミッションレスのブロックチェーンの特性について触れ、ブロックチェーンがこれまでのDBシステムとは異なり、undoできないという、まさにデジタルの世界の概念を覆す特徴を持つこと指摘していました。また、その特性上既存技術にも向いてるものと向いてないものがあると石井氏は述べていました。

既存技術の中でブロックチェーンが向いてるもの、向いてないもの

ブロックチェーンは、そのデータの形ゆえにスピード性にはかけています。ブロックチェーンが生きるフィールドは信頼性がスピード性よりも重視されるところなのです。

まさに成功例だとBTCや、今はサプライチェーンや貿易等、不特定多数のユーザーが絡む2つのフィールドがよく当てはまります。

その点、リアルタイム性、更新速度、即効性を求められるIoT機器、ウェアラブル端末、モビリティーなどに対しては、厳しい印象を持っているようでした。

ブロックチェーンにはブロックチェーンのフィールドがあると認識させられました。既存システムに応用するとしても、ニーズをブロックチェーンで満たすことができるか考えないといけないということですね。

2.「貿易分野におけるブロックチェーン技術の応用 / NTTデータ 稲葉高洋

続いてお話いただいたのは稲葉高洋氏です。

ブロックチェーン技術がまさに、貿易の分野で応用されているという現状について言及されて言いました。

ブロックチェーンの認知が高まってからは、金融分野での応用が多かったようですが、最近では物流関連に取り入られているようです。サプライチェーンやトレーサビリティーなどのフィールドこそ、ブロックチェーンが真価を発すると稲葉氏は期待していました。

ブロクチェーン技術の貿易分野への応用 分散型台帳を使うメリット

貿易分野は他国と取引するため、確かに信用というものが大切になってくるフィールドだと、話を聞いているうちに感じました。

  • 相手が信用できるか
  • 相手がお金を払ってくれるか
  • 相手が指定したとこに届けているのか

こういった不安がいつも隣り合わせにあるのが貿易だと強く感じました。

さらに、貿易というのは単に国と国だけの取引ではありません。当然、貨物輸送でのミスにより、貨物が破損してしまった時の保険会社、税関など、国をまたいで不特定多数の人物が1回の貿易には関わっています。

下のスライドをみると、どれほど貿易が複雑か理解できると思います。

稲葉氏は、「情報のバケツリレー」という問題について言及し、情報の伝達が、個人個人のみで行われ、すべての人が適切な情報を参照できないことが問題として起きてると、話されていました。

まさに、分散型台帳はこの貿易分野のニーズを満たすことができると考えられているのです。

その後は、最近貿易分野で13社によるコンソーシアムが発足されたこと、ブロックチェーン技術を応用しても、なお残る課題について話しながら、稲葉氏のセクションは終わりました。

私個人、貿易分野であれほど多くの会社や団体が関わっているとは思っておりませんでした。物流に限らず、暗黙の了解の上で成り立っている、というような事業がまだまだあると思うので、ブロックチェーンはそういった事業のレベルを1つ、もしくはそれ以上にあげることができるのではないかと考えさせられるセクションでした。

3.ブロックチェーンコア技術と既存技術の組み合わせ

3つ目のセクションはKarl-Johan Alm氏にお話いただきました。

Karl氏は謙遜されてましたけれども、次のセクションでお話いただいた松浦氏が言うには、とてもすごい方だそうです。

最初、自身の年表による自己紹介が終わったところで、本題に入って行きました。

Karl氏の研究分野は、仮想通貨の中でもBitcoinしかやっていないとこのとで、本人もスライドの中でビットコイン馬鹿と書くほどの熱中ぶりらしく、今回はそのBitcoin分野にどうしてブロックチェーン技術が用いることができたのか、というのが大きな焦点として話が進んできました。

ブロックチェーン技術が役立つための条件、特徴

Karl氏はブロックチェーンが役に立つ条件を2つ話されていました。

そこからは、日本の従来のシステムにおいての欠点、主に振宇についての例を取り上げ、そこにブロックチェーンをどう当てていくのかということについて話されました。例えばTポイントカードについての話について個人的に関心を持ちました。

Tポイントカードを私たち日本人は、何の疑問も感じず自分のカード、または自分のポイントとして使っています。実際はTポイント自体は、会社によって管理されており、いきなり自分のポイントを無効にされたり強奪されているする可能性もあるわけです。

ですが、実際私たちは、企業が負うその不正のリスクと、強奪した時の利益を暗黙的に比べ、直感的な信頼を持っています。

Karl氏はそういった現システムの暗黙的な信頼関係を「いくつか挙げブロックチェーンがもつ、そういった現状に対しての、より明瞭な世界の構築の可能性について言及しました。

例が多くわかりやすく、オーディエンスの皆様にも笑いが起こったりと、EXEに活気を与えていました。

4.ブロックチェーン応用のモデルと金融工学

続いのセッションでお話いただいたのは松浦幹太氏です。

最初に驚いたことは、ブロックチェーンやBTCについての要素技術や基本的な考え方は、さほど新しくないということです。ブロックチェーン技術の発展に努めることの意義はいったいどこにあるのかというのを、松浦氏は「トリプルS」で説明してくださいました。

この「トリプルS」に取り組むこと自体が社会的な発展に努めることであり、まさにエキサイティングと言えるのかもしれません。

ブロックチェーンにおける情報セキュリティーの発展

その後は、BTC以前から仮想通貨におけるセキュリティー周りのお話、セキュリティートークンの話、そしてまた、リスト移転の話と、ブロックチェーン技術を応用する上でコアとなっている実用的な情報を、数学的な情報を含めお話いただきました。

オーディエンスの皆さまも、スライドに映るコアな技術を書き留めておこうと、カメラないしは、PCでメモをとっていらっしゃいました。

かなり実用的な話を聞かせていただき、最後のまとめではブロックチェーンに取り組むことが、社会的な発展につながると話されていました。

やはり、未来を見据えた社会貢献となる研究を重きにおかねばならないと痛感しました。

ディスカッション : ブロックチェーン技術の適用や応用について

本ディスカッションでは、主に石井氏が議題を提起する形で進んで行きました。

今回のEXE#4のトピック、ブロックチェーンの既存技術の適用についての幾つかの議題があり、かなり深まったディスカッションが展開となっていました。

中でも、「既存の技術は基本的に管理者ありで、ブロックチェーンには基本的に管理者はおらず、それをどう組み込んでいくのか」という質問には、各者それぞれ、「全く管理者がいないというのは厳しい」、「0か1かではなく段階的になっていくのでは」、「やはり責任を取る人がいないというのは厳しい」といった答えが上がり、オーディエンスの質問も加わることで、ディスカッションはより一層深まったと感じました。

懇親会 ブロックチェーン研究者のビジネスの場

EXEでは登壇やディスカッションだけでなく、そこで得た情報や知識をその後の懇親会で理解できることが特徴だと感じています。

参加者の数も増えたこともあり、より一層豪華な懇親会となりました。このネットワーキングで生まれたつながりが今後の技術取得やビジネスにつながっているようです。

懇親会では、軽めの軽食とともに、様々なブロックチェーン研究者、もちろん研究者じゃない方も、和やかにお話されていました。

本イベントの登壇者への質問もする方もいらっしゃって、よりEXE#4を満足いただき帰って頂けたのではないでしょうか。さらに、この懇親会で新たなビジネスの場に出会ったという人も伺っておりますので、どうぞふるって次のEXE#5にご応募ください!

編集者:牧野真成 / 慶応義塾大学理工学部

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