【Blockchain EXE主催】スペイン・マドリードで初のイベントを開催

2019年3月5日、Blockchain EXEはマドリードのGoogle Campusにて、ヨーロッパで初となるミートアップを行いました。ドイツの”Industry 4.0”を筆頭にIoTやスマートシティを積極的に進めているヨーロッパということもあり、ブロックチェーンやAI技術への関心は増しています。

本イベントはTelefonica R&Dのブロックチェーン専門家Alfonso de la Rocha氏、日本のAI&ブロックチェーン技術会社CougerのCEOである石井敦氏、Social Media Fidelity ManagementのCLOのJorge de los Reyes Martínez氏、IEビジネススクールでブロックチェーンの講義を行う教授などの技術的な専門家が一堂に会しました。

急速な経済成長の渦中にあるスペインは南アフリカ諸国との関係も強く、多様性に溢れる国です。BlockchainEXEは日本に限定せず、世界中の人のネットワークを創出するコミュニティプラットフォームの役割をになっていきます。

Alexandre Bussutil — CEO of B-SCALED, IE Business School Professor

社会に置けるエネルギーと電気の役割、そして分散化された技術がグローバルな課題を解決するのにどう役立つのかについて話しました。

「電気の場合46年、スマートフォンの場合は12年、2000年代初頭のiPodは4年かかりました。そしてPokémon Go(2016年リリース)はたった19日でした。」

Alexandre氏は第4次産業革命がいかに社会に根本的な変化をもたらしているかに焦点を当て、最新技術が最初の5000万ユーザーに到達するまでに要する時間について、驚異的な統計を発表しました。

このようにあらゆる産業の発展スピードが速まっていることは、企業同士のビジネスだけでなく、直接ユーザーに訴えかけるビジネス例も多いことを事例を交えて紹介していただきました。

Atsushi Ishii — CEO of Couger, Leader of Connectome Project, creating Virtual Human Agent

石井氏はConnectomeプロジェクトにおけるAI、AR、およびブロックチェーンを組み合わせた次世代のヒューマンインターフェイスについて語りました。

信頼できるAIを作るというビジョンのもと、Connectomeは人型AIアシスタントを開発しています。

これまでのインタフェースは、コンピュータからスマートフォン、そしてスマートスピーカーに変わってきました。次なるインターフェースとして人型のインターフェースになるのではないかという点を研究結果などをもとに話しました。

Jorge de los Reyes Martínez, Asesor jurídico — Chief Legal Officer (CLO) of the Social Media Fidelity Management

Jorge氏は持続可能な経済発展のために、ブロックチェーンによる解決策に焦点を当てています。

ブロックチェーンによる影響範囲:特に住む場所、仕事の場所、持続可能な開発目標(SDG)について解説しました。

『ブロックチェーンで人々に付加価値を与える方法』をキャッチフレーズにし、公共と民間の両者が直面するいくつかの課題について話しました。

Alfonso de la Rocha — Blockchain Expert at Telefonica R&D

Alfonso氏は自主的なデジタルアイデンティティについて取り上げました。今の時代は誰でもインターネットを通じて自分とは違う人になりすますことが可能です。

「インターネットはすでに壊れている」と彼は言います。

データやプライバシーといったインターネット上でのアイデンティティに関する問題を取り上げ、ユーザー自身がデータ主権を持ったIDモデルを持つことを解決策として使うことを提唱しました。

皆の個人情報がウェブや様々なアプリに散らばっているためブロックチェーンが必要なのです。Alfonso氏は、信頼性が高く集中管理されたブロックチェーンがデータをより安全に保存するのに役立つと信じています。

ディスカッション

司会:今回は国際色豊かな講演者のみなさんが集まっているので、第4次産業革命に関して自分の国が取り組んでいることについて教えてください。

Alexandre:シンガポールほどではないですが各企業がブロックチェーンを用いたICOをビジネスに取り入れています。そして今日では、国として、多くの資金と期待をAIにかけています。ソフトバンクに売られたAldebaranというロボットの開発者は現在新しい会社を立ち上げ、人間の神経細胞を模したチップの開発に取り組んでいます。仮想通貨の秘密鍵を保管するハードウェアウォレットで知られるLedger社とチップが組み合わさることで何か新しいことが起きると考えています。

石井:日本ではブロックチェーンとAIが全く別のものとして扱われていますが、私はAIは自動化するもの、ブロックチェーンは物事を証明するものだと解釈しています。そのためお互い相性はとてもいいと考えています。例えば我々は利便性を求めて何でも自動化する事を好みますが、同時にデータが正しくやりとりされているか確認する必要があります。私がこうして世界中で講演会を開いているのもハードウェアとブロックチェーン、AIの組み合わせの可能性がまだまだあると思うからです。

Jorge:スペインでブロックチェーンを始める人が初めに直面する不安は、プロダクトが規制にかかって国を追い出されるのではないかということです。国が技術に対して友好的でなく、ブロックチェーンに厳格な規制を設けているためです。その中でもスペインでブロックチェーンなどに興味のある人は小さなコミュニティを作って仮想通貨を開発するプロジェクトをいくつも立ち上げています。

Alfonso:ビジネスの観点からすると暗号通貨のバブルは2019年に終わりを迎えて、いよいよ能率的な産業システムを構築し始めるスペインの企業が増えてくると考えられます。

司会:ありがとうございました。各国が最新技術のイノベーターとして特色のある個性を持っていて大変興味深いです。それでは二つ目のトピックに移りましょう。AIやブロックチェーンが発達するにつれて自分の仕事がなくなるのではないかと不安な人も多いと思います。そこで新しい時代に向けて我々や次の世代が準備しておくべきことに関して意見があればお願いします。

Jorge:韓国ではAIが人間よりも生徒をうまく教える成功例があります。このような結果をみると、確かに人間がするべき仕事はますます減っていくでしょう。一方で新しい仕事が生まれるだけでなく、空いた時間で人間らしい有意義な生活を楽しめるはずです。

Alfonso:これは決まり文句ですが”学び方を学ぶ”ことが大切です。次に何が起こるかは誰にも分からないし、私自身も4年前はブロックチェーンや仮想通貨について知りませんでした。しかしエンジニアなので常に情報をアップデートしなければいけません。つまり”学び方を学ぶ”ことが全ての備えになるはずです。

石井:AIはゲームのようにルールに従うこと関しては非常に強いですが、一方で人間のように新しい新規的な発想を産むことは得意ではありません。したがって今も次の時代も人間の強みが消えることはないと考えます。

Alexandre:社会的には一部の富裕層だけでなく全員が十分な教育を受けることがまず必要です。第1次産業革命で職を失った人たちが都市に行っても仕事が見つからず途方にくれた過去があるように、今回も同じことが起こると言えます。加えて我々は自らで慎重に判断することを怠ってはいけません。中国やアメリカの大企業に祖先のデータを管理されてもいいのでしょうか?個人データの管理には気をつけて欲しいと思います。

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