ブロックチェーン活用はふ化場から食卓まで

フランス・カルフール社の取り組み

ブロックチェーンの活用があらゆる分野で模索されています。医療や保険、運送や自動車(リンク?)など様々ですが、そのうちの1つが「食品」です。フランスのスーパーマーケット「カルフール(Carrefour)」は食品の透明性を保証するために、ブロックチェーンを用いて、ヨーロッパで初めての追跡システムを構築しています。

書き込まれたデータ情報の改ざんが困難であるブロックチェーンの特徴を活かして、食品の安全性を保証し、消費者のニーズとして高まりつつある透明性にも答えることが期待されています。また、生産者にとっても、彼らの育てたものや食のクオリティ担保の技術をアピールできるというメリットがあります。

消費者はこれらの情報を、食品につけられているQRコードをスキャンすることで、その食品がどのように生産されているのかを知ることができるようになります。

まずは鶏肉から


(カルフール社ニュースリリースより)

カルフールは、まず鶏肉から取り組みを始め、その後は卵、チーズ、牛乳、オレンジ、トマト、サーモン、ひき肉、牛ステーキなどさらに8種類の食品に拡大するとしています。

このブロックチェーンの仕組みでは、消費者は生産ライン上の多くの情報がわかるようになっています。生まれた日付や畜産農家の名前はもちろん、どんなエサが与えられて育てられてきたか、どこで屠殺されたかといった情報も知ることができます。特に、エサに遺伝子組み換え食品が使われていないかどうかを気にする消費者は多いので、こうした情報を正確に伝えられることは大事なポイントです。

ブロックチェーンによる情報の透明性

広がる食品へのブロックチェーン活用

フランスのスーパーマーケット・カルフールの取り組みをご紹介してきましたが、同様の動きは世界的にも広がり始めています。

アメリカの「ウォルマート」は4月、ブロックチェーン技術を使用してこれまで6日かかっていた食品の生産追跡を2秒に短縮できるようになったと発表しました。今後ウォルマートはサプライヤーに対し、このブロックチェーンによる管理方法を使用するよう求める方針で、それによって異物混入の追跡や透明性の向上を目指しています。

中国のイーコマース大手の「京東商城(JD.com)」は食肉販売のサプライチェーンを管理するブロックチェーンの導入を進めています。中国では偽装品が流通することが少なくありません。同社の張CTOは「中国の消費者はただ高級輸入品を求めているのではなく、どこでどのように生産されているのかについて信頼できる情報を求めており、ブロックチェーンを利用することでその安心をもたらすことができる」と語っています。

»アリババ(阿里巴巴集団)はブロックチェーンでなにをするのか

ブロックチェーン活用の課題

ブロックチェーンに虚偽情報を書き込んだら?

しかし重要なポイントは「ただブロックチェーンを使えば情報が透明になる」というわけではない点です。書き込んだ後のデータを改ざんする事は難しくても、書き込むデータを改ざんすることは可能です。

そのため、ブロックチェーンを活用するにあたって、周辺のエコシステム設計が結局のところ重要になっていきます。センサー技術によって人間ではなく機械が情報を書き込んでいったり、情報を書き込むための証明書を必要としたり、様々な工夫が求められるでしょう。

ただ、そのエコシステムのクオリティがどうであれ、まずブロックチェーンを用いた社会実験を進めていく事は非常に意義のあることではないでしょうか。

安心安全な食品を届けるために

遺伝子組み換え食品や異物混入された食品などが問題視されると同時に、安心して食べられる食品を求める消費者は増え続けています。自分が食べる食品がどのように生産されているのかを知ることができる、またその情報を信頼できるものであるということが、これからますます大切になってくるでしょう。その際に、改ざんが困難という特性を持つブロックチェーンの活用が最適解であると言えそうです。ブロックチェーン技術の本領を発揮できるこの食品の分野に期待したいですね。

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