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BlockchainEXE第9回イベント:ブロックチェーンが築く経済圏 将来展望と課題

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BlockchainEXE第9回イベント:ブロックチェーンが築く経済圏 将来展望と課題

ブロックチェーン関連分野における技術共有、発展、応用に重きをおいたMeetupイベント、Blockchain EXE第9回が、リクルートGINZA8にて行われました。

今回のイベントのテーマは「ブロックチェーンが築く経済圏 将来展望と課題」です。

2017年に始まったBlockchain EXEは、応募が殺到し即満席になったBlockchain EXEWhitepaper、Blockchain EXECodeなど派生イベントも開催され、また2/23には名古屋でも開催されるなど拡大を遂げています。海外とも繋がるコミュニティ形成を目指しており、2018年の年明けにはNYでの開催が実現しました。

今回はEXE#9のイベントレポートをお届けします。以下、敬称略

▼目次

  1. オープニング クーガー株式会社 石井 敦氏
  2. デジタル地域通貨の先行事例の紹介と更なる発展について-飛騨高山「さるぼぼコイン」- 株式会社アイリッジ川田 修平氏
  3. 馬車から鉄道。郵便からメール。銀行からブロックチェーン GIFTED AGENT株式会社 / COMMONS株式会社 河崎純真氏
  4. 世界中のアニメファンに向けた仮想通貨、オタクコインの展望と今後 Tokyo Otaku Mode,Inc. 小高奈皇光氏

オープニング クーガー株式会社 石井 敦氏

クーガー株式会社 石井 敦氏
IBMを経て、楽天やインフォシークの大規模検索エンジン開発。日本・米国・韓国を横断したオンラインゲーム開発プロジェクトの統括や進行。Amazon Robotics Challenge トップレベルのチームへの技術支援や共同開発。ホンダへのAIラーニングシミュレーター提供、NEDO次世代AIプロジェクトでのクラウドロボティクス開発統括などを行う。現在、AI x ロボティクス x IoT x ブロックチェーンによる応用開発を進めている。

ブロックチェーンは履歴を変更できないという信頼をもとに動いており、価値を移転させられるインターネットとも呼ばれています。インターネットのキラーアプリは「Eメール」でしたが、ブロックチェーンのキラーアプリは「ビットコイン」。今回のテーマの一つでもある「通貨」です。

ビットコインがキラーアプリと成り得た理由は大きくわけて3つ。通貨という誰もが使い分かりやすいものであったこと、技術的に扱いやすかったこと、価値が頻繁に人から人へ移転していくことが挙げられます。

ブロックチェーンは非中央集権型であることが大きな特徴ですが、非中央集権で経済を作る上では課題もまだ存在します。本日はこの課題や可能性を登壇者、参加者と探っていきましょう。

デジタル地域通貨の先行事例の紹介と更なる発展について-飛騨高山「さるぼぼコイン」- 株式会社アイリッジ川田 修平氏

川田 修平 | 株式会社アイリッジ
慶應義塾大学総合政策学部を卒業し、プライスウォーターハウスコンサルタントでERPシステムのコンサルタント、ボストンコンサルティンググループで戦略コンサルタントとしてプロジェクトを推進。
GEコンシュマーファイナンスで保険事業を担当した後、エス・エム・エスで看護師などの医療従事者向けコミュニティサイトの運営、看護師向け雑誌、通販事業の買収・PMIから運営・推進を担当。
現在は、株式会社アイリッジにて、新規事業開発を担当し、FinTech、決済領域でのプロジェクトを推進中。

株式会社アイリッジは、O2O領域でトップカンパニーであり、直近ではフィンテック領域の事業にも進出しています。アプリ決済サービスが、徳島大阪間を結ぶバスなど地方で導入されています。最近メディアでも大きく話題になった地域通貨の取り組みは、この地方での決済事業の学びが大きく生かされたとのことです。

「さるぼぼコイン」が発行されている、岐阜県飛騨高山は、大都市圏からは遠く、また少子高齢化が進んでいます。人口12万程度ですが、観光資源は豊富で年間450万人(うち外国人42万人)が観光客として訪れています。外国人も多く訪れるにも関わらず、クレジットカードが使える店は20%に留まっていました。飛騨高山市内でもっと経済活動を活発にさせたいという課題があったのです。「さるぼぼコイン」は地元の飛騨信用組合が協力体制を取り、導入が決まりました。

さるぼぼコインは、飛騨高山地域のみで転々流通して使えるコイン。そのため、地元以外(特に都市圏)に、飛騨高山の資金の流出を止める効果もあります。またデジタル通貨である点も大きな特徴です。過去にも、「地域振興券」など紙の地域限定通貨は存在しています。しかし使い勝手が悪く、偽造を防いだり管理するコストが高いこともあり、大きく流通はしませんでした。アイリッジの提供するサービスはQRコードを使ったデジタル通貨。そのため利便性が高く、流通しやすくなり、かつ利用データも取ることができます。

飛騨高山での成功を皮切りに、デジタル地域通貨はハウステンボスや、伊予銀行での導入が決まっています。本サービスを開始する際、ブロックチェーンの使用も検討したのですが、スピードの問題などで一旦導入は見送ったそうです。今後はブロックチェーンを活用したサービス展開も検討しているとのことです。

地域通貨の応用サービスの検討例

  1. 電子マネーの機器設置が難しい無人販売所の決済ツールとして
  2. オフィス内のみで使える電子通貨「オフィスコイン」として
  3. (福利厚生として企業がチャージするなどの使い方もでき得るのでは)
  4. 自治体のプレミアム商品券の代用品として

日本は現金の利用率が非常に高く、中国等と比較すると電子決済はまだまだ普及していません。デジタル地域通貨の普及は、日本の電子決済率向上の一助となるでしょう。


会場からの質問

Q1:地域通貨にブロックチェーンを取り入れた場合想定されるメリットは何でしょう?

A1:現時点でのブロックチェーン技術では、スピードの問題等でメリットがないと思い、導入を見送りました。ブロックチェーンは注目度が高いため、利用した方がニュースバリューが高まるといったことはあるかもしれませんね。

Q2:導入コストや手数料はどれくらいか?

A2:我々ではなく、通貨の運営者が設定するのですが、決済手数料にあたる手数料は1.5%とクレジットカードよりかなり低い数値になっています。

Q3:飛騨高山にはインバウンド客が多いと思いますが、外国人向け利用促進施策はありますか?

A3:我来年度の施策として準備をしています。秋口にはクレジットカードなどからのチャージができるようになります。


馬車から鉄道。郵便からメール。銀行からブロックチェーン GIFTED AGENT株式会社 / COMMONS株式会社の河崎純真氏

IFTED AGENT株式会社 / COMMONS株式会社の河崎純真氏
1991年生まれ。ADHD・エンジニア・社会起業家。母親は「カリオストロの城」などを手がけた著名なイラストレーターであり、アスペルガー症候群であった。自身も発達障害を抱えており「発達障害者が充分に才能を活かすことが出来ない社会」に問題意識を持つ。高校に行く意味を感じず、15歳からエンジニアとして働きはじめ、Tokyo Otaku Modeなど複数のITベンチャー・スタートアップの立ち上げ、事業売却、役員業務などを経験。Web 3D / VR(仮想現実)ベンチャーにてCOOとして活躍。離脱後、自身のライフワークであった「発達障害の人が活躍できる社会を創ること」に人生をかけGIFTED AGENT株式会社を起業。

河崎氏の会社では、“和”と“ブロックチェーン”という構想を掲げています。日本の和の精神とブロックチェーンは相性がいいと考えているそうです。今回は、河崎氏の考える未来予想を中心に話が展開されました。

河崎氏は、将来国が数十万から数百万に増え、小さな単位のコミュニティの重みが増すのではないかと考えています。コミュニティの統制を保つ機能は「共感」。今後は、信用ではなく共感至上主義の社会になっていきます。実際に公海に自由主義の都市国家を建設するプログラムのような事例もあり、価値観を共にする小さなコミュニティを作る動きは進んでいます。ブロックチェーンは、信用を陳腐化します。なぜなら改ざん不可なブロックチェーンにより、信用は当たり前の前提になるからです。そのため、信用には今後価値がなくなり、共感が価値を持っていくのです。

これまで経済活動を行うためには、お互いに信用している中央集権管理者(国など)を媒介にすることがスタンダードでした。しかし、中央集権管理者がお墨付きを与えたモノが改ざんされていない確証はありません。また、管理者のデータが破壊される可能性もあります。これまでは、安全にデータを守るために、高いコストがかかっていました。しかしブロックチェーンでは、中央集権管理者がおらずとも低コストでデータが守られます。

また経済活動に関してこのような話もありました。

これまでも金融恐慌の度にポンドからドルへなど基軸通貨が入れ替わっており、21世紀は仮想通貨が基軸通貨になるだろうと考えているそうです。

世界中のアニメファンに向けた仮想通貨、オタクコインの展望と今後 Tokyo Otaku Mode,Inc.  小高 奈皇光氏

小高 奈皇光 | Tokyo Otaku Mode Inc. 共同創業者/CEO
慶応大学卒業後、2000年メリルリンチ投資銀行部に入社。電通グローバルIPOやソニーの大型転換社債(2,500億円)、大成火災(現損保ジャパンへ統合)の会社更生計画など多数のファイナンス及びM&Aに携わる。 その後株式会社ガイアックスの執行役CFO・管理本部長に就任。自社株TOBなど資本政策の他、M&A・人事・経営企画など多岐の業務に携わる。また海外担当として、フィリピン及びシンガポールの子会社設立を先導。2011年には厚生労働省「両立支援ベストプラクティス推進事業」委員に選出。 2012年にTokyo Otaku Mode Inc.共同創業者として米国500 Startupsのプログラムに参加、デモデーのプレゼンテーターを務める。

Tokyo Otaku Mode,Inc.は、世界2,000万人以上のファンがいるFacebookページや自社サイト「Tokyo Otaku Mode Shop」を通じて、海外向けに日本のアニメ/漫画/ゲーム/音楽/ファッションなどの商品を販売したり、情報を発信するサービスを運営しています。

Tokyo Otaku Modeでは、世界共通のオタクコミュニティ通貨(オタクコイン)を作ろうとしています。インターネットの登場で、国境を超えた情報格差は減っており、日本のアニメやゲームは、日本で発表されるのとほぼ同時に世界中のファンが触れられるようになりました。趣味嗜好で繋がった人々のコミュニティは、今後さらに国境を超えて強く結びついていくでしょう。その際にコミュニティの参加者全員で使える通貨を作っていきたいと考えているそうです。オタクコインはグッズ購入やイベント参加の支払いだけでなく、プロジェクトやクリエイターの支援等にも利用が想定されています。

オタクコインICO検討のプレスリリースを出したところ、国内では賛否両論だったものの、海外からは応援者が多く現れているそうです。ICO検討サイトのアクセスは世界156カ国からあり、メールでの問い合わせは700件のうち600件が海外から。質問ではなく、応援メッセージが6割だったとのことです。

会場からの質問

Q1:円やドル、また他の仮想通貨ではダメなのでしょうか?

A1:国を超えてOtakuコミュニティは広がっています。我々は今越境EC事業を行っていますが、為替交換コストや送料が重く、海外のファンに日本と同じ価格で商品を提供することは難しいのが実情です。オタクコインは、為替交換コストの一つの解決策となるでしょう。また、既存の仮想通貨ではなく独自に発行することで、オタクコミュニティの人がルール作りに参加できるのも利点だと考えています。

Q2:共通の価値観を持つコミュニティという話が面白かったが、そこに犯罪者が入らないか等はどう担保するのか?

A2:その仕組みは現在設計中ではありますが、自浄作用で民主的に回る仕組みを検討しています。


国内最大規模のブロックチェーンイベントになりました

今回は230名分のチケットが完売するなど、国内のEXEイベントでは過去最高の参加者となりました。イベント後も様々な議論で盛り上がり、非常に満足したというお声をたくさんいただけました。

質の高いコミュニティを目指して行きたいと思います。次回のEXE10はドイツとロシアから日本に来日して、ご登壇いただきます。次回もお楽しみに!

EXE8 ツイッターまとめ

この記事を書いた人
井澤梓

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