【Blockchain EXE Presents】FinTech Economy Summit:金融領域を超えたブロックチェーン技術の応用#2

ブロックチェーン業界は、主に資金調達を目的とする「黎明期」を経て、さまざまな金融サービスを提供する企業の成長が著しい「発展期」を迎えました。今後のFinTech業界の更なる成長が見込まれる中、公正な成長を後押しする規制や法的環境の整備が望まれます。

ブロックチェーンの技術や応用に焦点をあてるBlockchain EXEより、FinTech Economy Summitの特別講演として、金融以外のブロックチェーンの発展に関してディスカッションを行いました。

データ活用とIoT×ブロックチェーンの役割 | Blockchain EXE #2

目次

石井:Blockchain EXE代表の石井と申します。今日は、『データ活用とIoT ブロックチェーンの役割』ということで、パネルディスカッションを行います。

石井:今日集まっている皆さんはそれぞれ特徴があることをされています。まず平山さんは、日本アイ・ビー・エム株式会社において、王道とも呼ばれるエンタープライズのブロックチェーンを。株式会社ケンタウロスワークスの河崎さんは、弁護士でもあるので、法律面とブロックチェーンの関わり方を。ZEROBILLBANKの堀口さんは、スタートアップ的な観点で、アイ・ビー・エムさんとはまた違うユニークな形で事業を進められています。

石井:私はBlockchain EXE代表で、クーガー株式会社のCEOの石井と申します。ご存知の方も多いと思うんですけれども、Blockchain EXEは、約2年前に設立したコミュニティです。世界で起きているユースケースであったり、実際にブロックチェーンがどう使われているかであったり、そういうコンセプトで技術の内容であったり可能性をディスカッションしたり、共有するコミュニティです。グローバルに展開していて、世界主要10カ国でも開催しています。ニューヨーク、サンフランシスコ、中国であれば上海であったり北京であったり、シンガポール、ベルリン、ルワンダ、トロントなど。来週はマドリッド、パリなどでもやる予定です。クーガーの方では、どうやってAIやデータの信頼性を作り出すかなど、そういう視点でブロックチェーンを活用していて。そういう意味で、今日のテーマであるIoTとかデータというのは、僕も取り組んでいるテーマでもあります。では、それぞれ自己紹介をお願いします。

堀口:ZEROBILLBANKの堀口です。私は、今ブロックチェーンをエンタープライズ向け、日本の大企業様向けのスタートアップを経営しております。ZEROBILLBANKの立ち上げはすごくユニークで、イスラエルのテルアビブで法人登記をしておりまして。ちょうど今月で設立から4年ですが、最初の2年くらいは私自身がテルアビブに住んでいました。ユダヤ人って、フィンテックとか金融サービスの文明化でいうと、世界でも勝っているんですね。例えばイギリスの上場企業で見ても、トップ20%くらいがユダヤ系だったりしますので。ユダヤの方たちってどんな人材で、どんなテクノロジーを使っていて、どんな世界で戦っているのかっていうのが分かれば、それを日本に持って帰ってきて、いろんなことが出来るのかなと。

堀口:僕自身、色んなITのバックグラウンドもある中で、かつそのイノベーションを取るっていうことを学んでみたくて。現地に混ざって、今のサービスの原型を作ってきて、それから日本でのサービス提供を始めております。今日は具体的に、本当に『IoT×ブロックチェーン』の文脈で、日本の大企業であったり、どんな形でサービスの提供を作っていけるのかとか、そういった未来について、皆さんと一緒に話ができればなと思っています。今日はよろしくお願いします。

平山:同じくアイ・ビー・エムになるんですけども、私がアイ・ビー・エムに入ったのが2016年の2月で、ちょうどアイ・ビー・エムがHyperledger Fabricという形でオープンソース化したタイミングで入っています。当時はまだブロックチェーンが黎明期で、認知度もない時代だったんですけれど、非常に可能性を感じて。特にイーサリアムが出たのが2015年あたりですね。そこからスマートコントラクトの考え方が出てきて、フィンテックブームも起きたタイミングで、アイ・ビー・エムがそれをやるということで。最初の一年は、元々ブロックチェーンっていうとやっぱりビットコインのイメージがものすごく強くて。金融機関でいうと、ちょうどあの時期がマイナス金利の発動のタイミングとかと被って、金融機関は非常に危機感を持っていました。どちらかというと、アイ・ビー・エムが得意な金融機関を中心にした実証研究が多かったんですけれども、ここ1~2年は製造や流通などの実証が増えてきていまして、これがIoTとの相性がすごくいいということで。IoTとブロックチェーンの連動プロジェクトを実験的にやっています。

河崎:はい、河崎と申します。私は今、弁護士が本業で、それと同時にケンタウロスワークスというリーガルテックの会社の代表もしています。石井さんから順に、アイ・ビー・エム出身が続いているんですが、私はアクセンチュアという会社に元々おりました。ただまあ、それも10年以上、15年くらい前の話で。その後、法科大学院というところを経由して、弁護士になって10年です。半分弁護士、半分コンサルタント・IT業界というところで。で、Blockchain EXEさんと一緒にに、Blockchain EXE Legalという取り組みを続けています。ブロックチェーンをいよいよ社会実装するという段階になったときに、色々な法律であったり、社会制度と衝突する。そこをどのように解決していくか、というテーマに取り組んでおります。

石井:先ほど河崎さんがおっしゃられたように、法律面とか個人情報面とか、地域での規則とかですね。あとは技術的な、データをどう保存していくかみたいな話とか。まあ、あとは実際に人間の心理的な、ちょっと気持ち悪いな、とか。今まさに、そういった問題点がすべて混ざり合っているような状態だと思っています。ブロックチェーンは業界としては、全体的に下がり気味というか、ダウントレンドになっている状態だとは思います。この原因のひとつになったと僕が思っているのが、やはり2017~18年ぐらいにかけて、様々な実証実験のニュースが世界中で毎日毎週発表されていて、『通貨の次のブロックチェーンの用途は何だろう?』ということで、いろいろやっていたと。ただその結果がどうなったかっていうのは、あまり報告されていない、という傾向がありまして。

”通貨”の次の役割は?

石井:通貨の次のブロックチェーンの用途として、保存するデータは何なのか、ということになるかと思いますも。IoTがデータを保存していく、ということになったときに、現場ですね。ブロックチェーンにどういうデータが保存されていくべきかと。そういう視点について、先ずは皆さんのご意見を伺って生きたいと思っています。では、堀口さん。

堀口:そうですね。これもまだまだ黎明期なので、今すぐ『これだ!』っていう答えはたぶんないと思うんですけど。まず、ブロックチェーンに書くべきなのかどうか、っていう議論が結構重要かなと思います。例えば、IoTがここまで広がってくると、今は単純な、IoTのセンサーで掴んだテキストデータが送られてきていると思います。これが個人情報となって、例えばFitbitで、自分が歩いた際の心拍だったり活動量だったりまあもろもろデータは取れますけれども、このデータをはたして、価値があるものと認めてブロックチェーンに記録して、アセットとして流通しますか、しませんか、と。で、ここでまあ色んな問題が起きてきます。ブロックチェーンの良い面でも悪い面でもあるのは、一度でも記録すると消せないっていう問題がどうしても出てきます。ついにはGDPRの観点で消さなくちゃいけないっていう要素をどこまで踏まえるかというのも考えて、色々な議論をしていかなくちゃいけないのかな、と。

石井:今後、ブロックチェーンの通貨以外のユースケースで、人々に期待されていて、かつ特にGDPRとかそういう流れがある中で、『こういうデータであればこう使えるんじゃないか』『保存に向いているんじゃないか』とか、その点、河崎さん、いかがですかね。

河崎:GDPRってすごくインパクトのある4文字の英字なので使われますけども、普通に日本の個人情報保護法でも、訂正しなきゃいけないものは訂正しなきゃいけないので。ブロックチェーンってただのデータベースではあるので、特徴を踏まえた使い方を、っていうことだと思うんですね。私の理解する限り、ブロックチェーンが一番向いているのは、まあ改ざん防止といいますか、完全性確保っていうところではすごく向いていると思います。

ブロックチェーン活用の現実解

河崎:しかし、一方でそのために、例えばパフォーマンスとかですね。そういったところを犠牲にするという、ある種のトレードオフというか、そういうものがあると思いますので。なんでもかんでもブロックチェーンに乗せるっていうのは、およそ非現実的だろうと考えています。特にその、個人情報保護法の対象になるような個人データのようなものを、生のままでブロックチェーンに書き込むっていうのは、ちょっと社会実装という視点からは想定しがたいものかなって思います。

石井:そうですね。例えば、みなさんご存知かと思いますが、Amazon GOとかですね。人がいないときに、Amazonが提供しているカメラを部屋の中に置いておいて、その様子を写真や映像として撮る。その状態で、ハウスクリーニングであるとか、宅配物の受け取りなどを自動でやってしまうっていう。これはAmazonが強烈に信用されているということに基づいてのサービスなんですが、これはこれで結構恐ろしいといいますか。そういうデータをパブリックで公開していいものから次に行こうとするけれども、実際そのほかのユースケースになった瞬間に、企業であっても個人手あっても、非常にデータの秘匿性があって、前に進みにくい状況っていうのがあると思います。その中で、ブロックチェーンで一番ユースケースをどんどん積み上げているのはアイ・ビー・エムのHyperledgerだと思うんですけれども、通貨以外のユースケースで今非常に伸びているものはありますか?

広がるブロックチェーンのユースケース

平山:結構みなさんにブロックチェーン界全体が縮小しているのでは、っていう誤解をされているところもあるかと思うんですけれども。ブロックチェーンでパブリックとプライベート、その両方がありますよね。。パブリックの方は色々と課題が出てきたというところで。その一方で、プライベートはまだまだ歴史が浅くて、今色々と進んでいるところです。GDPRは、アイ・ビー・エムとしてはすごく追い風になっていますね。パブリックだと、正直言うと誰が入ってくるか分からないんですね。なので、本当にセキュリティとか、個人情報を担保出来るのか、っていうのは、意識上難しいところではあります。プライベートであれば、コミュニティ型で作ることができるので、より対応はしやすいということになります。もうひとつ、IoTに関しても、特にヨーロッパ、ドイツとかでは色々進んでいて、IoTを使ってデータを格納する話はグローバルでも起きています。IoT自体でいうと、どっちかというとはじめはビッグデータですよね。なので、いわゆるその中のほんの一部だけ価値があればいい、とりあえずデータをどんどん取っていきましょう、その中で一部、アナリティクスで価値があればラッキーだ、というようなプロジェクトなので。Hyperledgerの場合、基本的にアーキテクチャー上は台帳なので、一番目には、改ざんできないっていうコンセプト。その中で、かつ重要なものだけを覚えているっていう。なのでいわゆるアナリティクスだとか、データ分析だとか、リレーショナルデータベースが得意としている分析だと、システムとして作るのは、あまりまだ成熟していない、と。一番大きなのは、トレーサビリティですよね。実際にあったものをきちんと担保するっていうところで、ユースケースが非常に増えてきています。

石井:貿易とか、サプライチェーンとか。

平山:そこの流通は今すごく増えてきて、成長しています。

石井:元々不特定多数の人が関与していて、台帳的なものが不完全な状態である、そういうところを置き換えるみたいな話ですかね。

ブロックチェーンと個人情報のあり方

平山:その中で、個人情報をどうするかっていうのが、ディスカッションのポイントですかね。

堀口:僕らもプライベートでブロックチェーンを提供しているんですが、事業として、儲けの仕組みを作らなくちゃいけないっていうことを考えますとスタートアップの立場から見ても、マネタイズポイントってやっぱり重要ですよね。ひとつの出口としては、保険とは相性が結構がいいですよね。先ほど、石井さんのAmazon GOの話で、ビデオカメラで撮影をしていて、その人がその場所にいたっていう証明をするときに、ビデオというか動画のデータそのものをブロックチェーンに書き込むって、ちょっとナンセンスなんですね。Amazonさんの持っているデータベースの中に、その型番のカメラが撮ったこの動画が、このアドレス情報にあります、っていうことをブロックチェーンに書いて、そこは改ざんできない状態です、それを証明書として保険会社に提出します。そうすると保険会社は、ブロックチェーンに書いているアドレスはAmazonのを見て情報を共有できるので、そこにいたという証明を作るときに、データベースとしては分散でいいでしょう、と。だけど、台帳の技術で改ざんされていないものをエビデンスに、保険を何かしら適用していくっていうモデルを考えています。

堀口:まず、価値としては、そのIoTのエンドポイントが発したセンシング情報を、改ざんされない状態でそこから担保いただけるっていう前提ですが、それがブロックチェーンで、そのアドレス情報を記録したものをみんなでシェアするっていうことができればいい。例えばいま色んな保険が出てきていますけれども、頑張って歩けば歩いたほど保険料が安くなる、というのが、今の仕組みでは改ざんできてしまうかもしれない。けれども、そういう情報をもし改ざんできない状態で、証明書としてみなさんが使用できれば、個人情報はローカルでハンドルします、けれどもそのエビデンスはみんなで共有します、というものが作れると、ひとつ価値あるデータになるかな、と思います。

ブロックチェーンの役割は”エビデンス”

石井:まさにその通りで、結局ブロックチェーンのやっていることって、一言でいうならエビデンスだと思うんですよね。今までは、みなさんが完全に納得しているエビデンスっていうのは物理法則だったと思うんです。例えば、先ほどの保険の例でいうと、何かにぶつかった、ぶつかった壁が実際にへこんでいる、そしたら絶対にこれとこれがぶつかったということで保証されて、保険が適用される、みたいな話で。これがデジタルだと、物理法則みたいに、一度起きた物事が戻らないというのは難しくて、保険のエビデンスになりにくかった。だからこそ、個別に話を聞きに言ったり、このデータは本当なのかとか、場合によっては巨大な中央集権企業が代わりにエビデンスとしてやっていく、みたいな話があると思っています。そのエビデンスという観点では、河崎さんの法律のところと被っていくのかなと。

河崎:まさに私の領域でして、先ほど私がケンタウロスワークスというリーガルテックの会社に所属している話をした時、その中身は申し上げなかったんですが、まさにその証拠というものですね、デジタル社会の中で、確かな記録っていうのがブロックチェーンを使ったら作れると。それが、此処にいる人たちの共通認識でもあると思います。それを実際に人々のところに届けて、かつそれが我々弁護士のところに、裁判の時や契約の時に持ってこれる状態を作ろうとていうことで、ブロックレコードっていうアプリを作っています。

河崎:この手元のスマートフォンに、例えば契約書であったり、文章であったり、音声や画像であったり、そういうものを事実として記録すると、このスマホの指紋認証やSMS認証を通っている特定された個人が、『そのときに、そのようなデータを書き込んだ』っていうのが簡単に証明できます。AndroidならGoogle Playストア、iPhoneならAppleストアで見ていただくと、もう使えるようになってます。

河崎:先ほどの証拠の話なんですが、このブロックレコードがやろうとしていた話っていうのはまさにそれで、簡単な形でかつ無料で一般の方にそれを提供する。例えば裁判の時に、セクハラとかパワハラがあったといっても、その証拠はどう提供するのか。あるいは、取引先とトラブルになったときに、契約書を作るっていうのはすごくハードルが高いわけですけれども、いつまでに、いくらくらいでこれをやってくれ、っていうのをそのまま音声で録音するとか、簡単なメッセージでやり取りしたものをブロックレコードを使って保存することで契約書の代わりにするとか。そういう形で、現実の世界の情報をブロックチェーン化された状態で、ブロックチェーンに乗せていくっていうことをどんどんやるべきで、僕らはそのお手伝いをしています。皆さんは、今は同時並行でおそらく取り組まれていて、そういった確かな情報というのが、ある一定のティッピングポイントを超えたときに、ブロックチェーン由来の世界が来ると思うんですね。

ユースケースを作り出すことでブロックチェーン活用は広がる

堀口:もうちょっと具体的なユースケースでいくと、僕らもちょうど2年位前に、地震対策ハッカソンっていうので何をやったかというと、例えばここに部屋があるとします。天井と床の四隅で立方体になりますよね。スマートコントラクトで、『この家の地震保険は、この立方体の面積で契約します』と。仮にその契約した時点で、保険会社や不動産会社、家のオーナー、賃貸の利用者が、その情報を共有します。実際に地震が起こったら、この立方体がどれくらいずれたとか、どれくらい捩れたとか、今地震はそれによって4段階で判定します。。全壊だったら全額出るんですけど、小~半壊や一部壊だとちょっとしか出ないんですよ。規模に応じて払う金額を事前に合意をして、その状態になったらスマートコントラクトで、銀行のAPIを叩いて直接払う、みたいな実装をしました。そういうユースケースがどんどん出てくると、手触り感があっていいかなと思ってますね。

河崎:それは本当に先進的な発想だと思いますし、そういうのがこれからどんどん出てくると、先ほど銀行のAPIを直接叩くとおっしゃいましたけど、そこがクリプトと繋がっていくと、ブロックチェーンの世界として完結しますよね。だから今、ステーブルコインを待ち望んでいて。ステーブルコインの決済と、ブロックチェーンのエビデンス性っていうので組み合わさったときに、スマートコントラクトというものがようやく本格化して動くのかなと思います。

石井:先ほどの堀口さんの例で言うと、保護の対象となる状態の検知は、画像とかですかね?

堀口:そうですね。例えば今、建設業界などはものすごく進んでいて、柱の中にセンサーを埋め込めるんですね。そのセンサー同士の幅や距離を常に測っていして、当然経年劣化があれば揺れたりもしますけど、例えばそこそのものをIoT化する。そうすると、例えば定期的なチェックなども未来には、当たり前になるんじゃないかなと。当時の距離センサーは、部屋の四隅に置いて、その状態をブロックチェーンで記録していました。

なぜビットコインがブロックチェーンの可能性を提示できたのか?

石井:結局はビットコインとか通貨型のブロックチェーンが、はじめにブロックチェーンの可能性を証明できた理由は、ブロック化というか、デジタル化できている情報が大多数であると。換金と入金以外は、全部そこでできてしまう。逆に言うと、IoT化で課題となるのはやっぱりデジタル化していない、ブロックチェーン化していないエリアがどうしても多くなる。そうするとブロックチェーンでよく言われるインプット問題ですね。ゴミデータやフェイクデータが入ると、そのままゴミやフェイクになってしまう。このインプット問題の解決はやはり、センサーの普及になりますかね。特にHyperledgerで色々事例が増えていくとそういう話になるかと思います。

平山:そうですね、アイ・ビー・エムのクラウドプラットフォームでは、実はIoTとブロックチェーンが連動するフレームワークで提供しています。なので、アイ・ビー・エムのIoTプラットフォームを使えば、そのままブロックチェーンに多投させることが出来るので、インプット問題の難しさはひとつ解決できるかなと思っています。

平山:もうひとつ、ちょっとテクニカルなところでいうと、先ほど銀行のAPIの話が出ましたが、色んなオペレーションすべてAPIでできるのかなと。一番の違いはスマートコントラクトと台帳がひとつになっているというアーキテクチャですよね。従来、IoTも含めてなんですが、IoTはメッセージングなので、この先がある。その前だとファイルシステムですよね。データベースなのでSQLがあって、EDL、テーブル構造がある。こういう形でそれぞれ独立しているんですけど、ブロックチェーンってそこが一体になるっていう。スマートコントラクトの契約内容が、そのまま台帳に入る。これが、非常にアーキテクチャとしては優れていると思うんですね。

平山:で、今IoTでは2つパターンがあります。とりあえず色んなセンサーデータを入れておいて、その中でもしかしたらバックバリューが出るかもしれない。コレは完全にビッグデータですよね。オブジェクトストレージとかに入れておいて、もしくはメッセージングを使って条件分岐で入れるとか、そういうアプリケーションをやっておいて、その結果を最終的に台帳に入れるっていう、ワンステップ入るっていう感じですね。IoTのデバイスの中で、そのコミュニティの中に、同じスマートコントラクトというか、合意形成がされるものであれば、直接ブロックチェーンに書き込む。そこはもう、合意形成されたデータしか来ない。という2パターンになると思うんです。

石井:なるほど。それに関連して、今世の中にAIとかブロックチェーンっていうのが最先端の技術としてあって、実際の法律っていうのはその後追いで、結構遅れているケースが多いと思います。その中で昔の例でいうとYouTubeとかで、みんなが動画をアップロードしていて、ではその違法性がどこにあるのか。そういう問題提起というのは常にされていて、それに対して『時代が後から追いつく』って言うのはあると思うんですけど。先ほどの平山さんの話の流れでいうと、そういうスマートコントラクトとか、一体化して処理されることで価値の移転が起きるっていうのは画期的だとは思うんですが、この価値の移転って、すなわち契約上でお互いの所有権を合意したっていうことになるわけで、AIとか他の先端技術よりも、よりその実際の契約・法律面とほぼ一対、みたいなことが起きると思っています。

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