はじめに
仮想通貨の世界は、値動きなどの不安定さからFUD(恐怖・不安・疑念)が支配する世界です。
2018年に入ってなによりもFUDを煽っているのが、USDTという仮想通貨です。
テザー疑惑、テザー社とBitfinexのUSDTをめぐる疑惑により、仮想通貨の信頼が大きく揺らいでいます。
▼目次
- USDT(Tether USD)とは
- テザー疑惑とは
- テザー社とBitfinexをめぐる疑惑
- まとめ
USDT(Tether USD)とは
USDTはテザー社によって運営されている、ドルと連動するペッグ制の仮想通貨です。
ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨は激しい価値変動をしますが、USDTは価値が変動しないよう設計されています。
ビットコインとドルの取引を銀行で行うには時間も費用もかかってしまいますが、USDTとの取引はシンプルかつ低コスト、さらにスピーディです。
利用者はテザー社に法定通貨を預けると同額のUSDTを発行してもらえるという仕組みになっています。
USDTを換金したい場合は、USDTを入金することで法定通貨を受け取ることができます。
このように、USDT発行量に相当する法定通貨を保有しているという信用で、USDTは成り立っています。
テザー疑惑とは
USDT発行量に相当する法定通貨を保有することでUSDTが米ドルの価格に連動していることを謳っているテザー社ですが、発行額に相当する米ドルを保有していない可能性を指摘されています。
流通しているUSDTと同額の米ドルを保有していないなら、テザー社はいくらでも通貨を発行できます。
ビットコインの価格下落に合わせたタイミングで通貨を新規発行し、ビットコインを買い漁ることができるという可能性も指摘されています。
これがテザー疑惑です。
テザー社が本当に流通額と同額の米ドルを保有しているのであれば、保有者全員がいつでもUSDTを同社に売り戻して同額のドルを入手できます。
この信用がUSDTと米ドルの連動を支えているというわけです。
ツイッターや掲示板、ビットカンファレンスなどで外部監査を通じて米ドルの準備高をテザー社に証明するよう求める声が噴出していました。
しかしテザー社はその要求に応じず、監査に向けて準備していた監査法人フリードマンLLPとの関係を打ち切ったという噂を公式に認めました。
テザー社とBitfinexをめぐる疑惑
これまでもUSDT発行には常に疑惑がつきまとっていました。
1度に50〜100億円規模のUSDTが発行されることがよくありましたが、一体誰がこれだけのUSDTを買っているのか憶測を呼んでいます。
テザー社と共通の株主を持つ世界最大級の仮想通貨取引所であるBitfinexでは、レバレッジをかけた大口取引が観測されていました。
一部からは、テザー社が米ドルの準備高以上のテザーを発行してBitfinexに送金、その後Bitfinexがこれを証拠金としてレバレッジをかけてビットコインの売買をしているのではと推測されています。
つまりビットコイン市場操作の疑惑です。
こういった疑惑を打ち消すためにテザー社は米ニューヨークに本社をおくフリードマンLLPに監査を依頼していたのですが、今回それを打ち切った形になります。
ライトコインの創始者チャーリー・リー氏も、昨年ビットコインが急上昇した局面で米ドルの準備高に裏付けられていないテザー社がビットコイン価格を押し上げている疑惑を指摘、テザー社とBitfinexに対して情報の開示を求めていました。
まとめ
2017年からテザー社とBitfinexは疑惑の的になっており、情報開示を求められてきましたきちんと弁明できていません。
今回のテザー社とフリードマンLLPの関係打ち切りの知らせは、疑惑をさらに深めてしまいました。
2018年2月現在テザー社の現預金は約2400億円あるとされていますが、正式な監査がないのでその真偽を確かめることができません。
もしも疑惑が事実であったなら、ビットコインを含むあらゆる仮想通貨の信頼問題に発展するだけでなく、市場崩壊につながる可能性も大きいです。
果たして疑惑が晴れる日は来るのでしょうか。