【ブロックチェーン導入企業 ユースケース特集】日本はブロックチェーンの技術大国になれるのか? | Blockchain EXE #19

なぜ今、ユースケースを取り上げるのか?

FacebookやUberなどのLibra協会を始め、日本の大企業もブロックチェーンを用いたユースケース作りに動き出す中、

「なんでブロックチェーンなの?」

そんな疑問を抱えている人も少なくないからです。

今回、ブロックチェーン導入企業から豪華ゲストをお招きし、日本のブロックチェーン産業の現在地と成長未来を様々な視点からお話しいただきました。

目次

不動産情報・価値・権利のオンチェーン化による企業のブロックチェーン活用 – 株式会社LIFULL|松坂維大

松坂 維大 Tsunahiro Matsuzaka|株式会社LIFULL ブロックチェーン推進グループ長 / 株式会社LIFULL Social Funding 取締役
株式会社LIFULLの創業期メンバー。インターネット黎明期よりLIFULL HOME’Sを通して、不動産情報のデジタル化とオンライン化に従事。 新規事業をスピンオフさせたグループ会社LIFULL FinTechの代表取締役を経て、現在はLIFULLにて「ブロックチェーン×不動産」をテーマに分散台帳技術による情報共有コンソーシアム「ADRE」の立ち上げや、不動産のトークン化に関するプロジェクトを推進中。
企業URL: https://lifull.com/
Twitter: https://twitter.com/matsuzaka2716

株式会社LIFULLは「ブロックチェーン×不動産」をテーマにブロックチェーンを用いた様々なプロジェクトを推進しています。

下記の不動産業界の3つの課題を解決するブロックチェーンのプラットフォームを開発しています。

  • 真正性の担保:不動産の正しい情報をオンチェーンで共有する
  • 権利表象(登記):不動産登記を分散型台帳のプラットフォームで行う
  • 小口化:不動産の所有権をトークン化して流動性を上げる

ブロックチェーン技術による不動産企業の真正性担保

不動産業界の課題として一つ目に、事業者ごとに不動産情報の同期が徹底されていないことが挙げられます。不動産情報の現状はデジタルコピーで溢れ、様々な事業者が情報を保有・活用することでデータの正確性やリアルタイム性が担保されない状態となっています。

  • 問い合わせると物件がない
  • 管理履歴が残っていない
  • ユニーク情報(物件の詳細)がない

これらの被害を消費者が受ける事を防ぐ必要があります。

この解決策として、LIFULLはブロックチェーンの情報共有プラットフォーム上に多様で正確な不動産情報を集約することで、業界全体で情報の同期を図ることを提案しています。

しかし、不動産業界は情報産業である点から、情報の共有はビジネスにおいてデメリットと感じる事業者が多いのも現状です。従ってオープンなプラットフォームでありながら情報共有の範囲をどこまで限定するか、つまりプラットフォーム上のIDを発行する事業者の見極めが鍵になってくると松坂氏は語ります。

ブロックチェーンによる不動産企業の権利公証(不動産登記)

不動産登記とは不動産の二重譲渡を防ぐため、所有を証明する書類であり、とてもレガシーな仕組みとなっています。

不動産登記に関する課題として主に以下の3つが挙げられます。

  • 登記をしない/更新をしない/相続登記をしない人が増えており、空き家の所有者不明問題が顕在化している
  • 義務化されていないため、価値の低い不動産に関しては登記費用の支払いを嫌って行わないケースがある
  • 相続などで二重譲渡を行う主体が存在しない場合、登記の必要性が薄れる

そこでブロックチェーンを用いて、不動産権利移転登記モデルで解決できるのではではないかと考えられています。不動産の所有権トークンを権利移転プラットフォームのパブリックチェーン上でやり取りすることで、政府機関などの第三者を通さずに移転契約を有効にできるため様々な手間を省くことができます。地方の空き家など二重譲渡するメリットやインセンティブがない相続、移転登記にとても有効です。

しかし、既存の登記と整合性を取る事が難しく、登記のダブルスタンダードが存在するという課題に直面しています。

ブロックチェーンによる不動産企業の小口化

最後に不動産業界における少子高齢化と空き家問題も深刻化しています。世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って、2033年度の空き家率は30.4%と予測されています。

空き家を民泊施設やカフェにリフォームして収益化を図るためには、投資家と空き家所有者にリターンを与える仕組みが必要です。

クラウドファンディングなどの証券化スキームのファンド規模は3億〜で不動産のデジタルアセット化にはコストが見合いません。そこでスマートコントラクトを用いた不動産の証券化スキームの開発が進められています。不動産共有持分の小口売買プラットフォーム内でEthereumのスマートコントラクトが機能することで人の手を介さない投資が可能になります。

不動産とブロックチェーンは相性がよく、今後も可能性が広がる領域であると松坂氏は語りました。

Blockchain EXE#19 企業×ブロックチェーン特集

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