シビラにおけるブロックチェーン活用事例 | 流郷 俊彦 シビラ

流郷 俊彦 Toshihiko Ryugo | シビラ
学生時代にはPerl/CGIによる開発が主流だったが、オブジェクト指向が使えるスクリプト言語に将来性を感じ、PHPで開発を行うようになった。エンジニアとしての経験を積んだ後、2005年に独立し、アメリカDelaware州に法人を設立。独自の開発プロセスを実践し、それを実現するためのフレームワークを開発する。その後、会社経営よりも技術開発に集中したいという考えから、藤井が代表を務めていた会社にCTOとして参画。エンジニアとして、急成長する企業の目標達成を牽引する。ブロックチェーンを研究して自律分散型の社会基盤の必要性を確信し、SIVIRAを創業。

siviraという会社がよく何やっている会社ですかとか聞かれるんですが、目指している未来や、やろうとしてる未来は篠原がしゃべった通りです。とはいえ実際問題、開発を進めていたりであったりとか、研究開発をやってるとか色々やっていますので具体的な内容を少しずつ紹介していきたいと思います。

ブロックチェーンを使った食の信頼の担保

我々がやっている内容で言うと、さっき篠原が喋っていたやつなんですけどIDIDさんとエストニアの半導体の会社とsiviraの三者の枠組みでやっているプロジェクトです。食の安全性をもっとちゃんと証明していこうと。ブランド価値を保っていこうということです。

例えば松阪和牛の相談をよくされます。偽松阪牛が多すぎて、その結果どうなるかと言うと、本当にちゃんと松阪牛を作っている人達の評価がどんどん下がっていきます。その中でも特に評価の高いブランドの値段が高くなっていき、下手すれば仕入れられなくなっていきます。そうするとステーキ屋さんの経営が成り立たなくなっていくという事が起きてしまいます。

なのでブランド証明はやはり重要です 。農家の人たちのブランドをちゃんと証明していって、世界と戦えるようにしていこうという想いでやっています。

それも第一弾として行ったのが実証実験で話した通りなので割愛します。

内部統制をブロックチェーンで

次が、内部統制ということを自社でおととしベータ的に出しているソリューションです。ざっくり言うとProof logというログをブロックチェーンで管理しましょうというものです。

システム的なログであったりメールのやり取りだったりとか今だとSlackやチャットワークといったチャットの履歴などのログをブロックチェーンで管理していこうというものです。なぜそうしているかと言うと二つの理由があります。

ブロックチェーンが流動性と情報の価値を高める

1つは、それらの情報はそもそも価値があるので、その情報の価値の流動性を上げていきたいということ。

もう一つはデジタルデータのエビデンス能力が今すごい低いので、そういう問題を解決しようということです。

それができる事で、過去を改ざんできない社会がなくなります。具体的に言うと内部統制をもっとスマートにできます。今だと、いろんな監査が入ったりとか、なんだかんだ人の手で頑張ってやっていますけど、そのアナログ的なものをやめて、テクノロジーで解決していくことを目指しています。

ブロックチェーンによる保険料の最適化

スマートバリューさんと一緒にやっているテーマテキストとブロックチェーンの連携です。最初に取り組んでいる内容としては自動車保険です。

ブロックチェーンでより保険を使いやすく

保険って月額でお金を払っていますが走行データが取れていきますので、運転内容によって保険をリアルタイムに変えていきます。これをもっと広げていくと、例えば車に乗ってる間だけ保険が適用されるとか、走ってる道の安全性とか、天候とか。もしくはドライバー自身の運転技術とかそういったものによって保険料というのはもっとフレキシブルになるべきだろうと思っています。

車自体のデータっていうのはこれからどんどんどんどん活用していかなくてはならないし、車自体の未来も考えていかなくてはなりません。そのためこういったプロジェクトにも取り組んでいます。データの信頼性とか、個人との紐付けとかこの辺りの研究を今はしているところです。

ブロックチェーンで作る信用のプラットフォーム

ソフトバンクグループさんと一緒に動いてる取り組みで、新しい個人の信用情報のプラットフォームを作っています。今回一緒に家賃決済代行を行っている会社さんと取り組んでいて、家賃だけじゃなくて光熱費の決算代行にもどんどん広めていこうとしています。

業界を横断したブロックチェーンの活用

そうすると決済に使っている情報の多くがこの会社さんに集まって、その情報を他の価値として提供していくことを目指しています。当然、我々自身が新しいデータ経済圏でデータの一次利用、二次利用を加速させていきたいのですが、その取り組みの一環として個人の信用の形を使っていこうと取り組んでいます。不動産会社さんなどを巻き込んでいきたいと思っています。

siviraが進める分散化社会

siviraは代表の篠原が言ってたように分散型社会を加速させていくために、いろんな業界を巻き込んで、情報をつなげていき、新しい価値を提供していこうとしています。直近で我々自身がブロックチェーン技術を作っているだけでなく、ブロックチェーンの研究開発を進めるために必要なことをやっています。

質疑応答

Q:私は徳島県から来たんですが、siviraさんの宮崎県の野菜のブロックチェーンの取り組みに感銘を受けて、地元のJAやスーパーに話に行きました。そこで商品掲示法とか実際今の卸しの仕組みがよくできているのと、消費者からはそこまでのトレーサビリティを求られていないという課題に直面しました。

また食肉のトレーサビリティを売り場に置くシステムを作ったのですが、結局利用されなかったという問題もありました。御社の宮崎県の取り組みは去年の3月以降続きがないなと思っているのですが、実際どのようになっていますか。

A:まずsiviraはなぜエストニアと提携していたかと言うと、本来はヨーロッパでやりたいと思っているからです。日本の市場はひとつのユースケースで実際にヨーロッパの方で徐々に話が進んでいます。

おっしゃる通りで実際ほとんどが難しいです。なぜなら、ほとんどが中央集権的に動いてきたからです。ただ将来的には完全にオープンソース化して最終的に勝手に皆が野菜を売り始めて、宮崎県のおばあちゃんがドイツに玉ねぎを売っているみたいなことを当たり前にするのに興味があります。なので短期的には商業的にこれがうまくいくかはどっちでもいいと僕は思っていてます。ニーズがあるということがわかったので先進的な農家さんをどんどん巻き込んでいきたいと思っています。

Q:ブロックチェーンで中間搾取がなくなるという話でしたが、Airbnbなどの会社がホストにもゲストにもそれぞれインターフェイスを提供して、そこで手数料をもらうという形から、ブロックチェーンでP2Pで末端と末端の人がつながるということになった場合、末端の人が何かしらのインターフェースが必要になると思います。

その場合、末端の人が自分でインターフェースを作れないと思うので結局Airbnbなどのインターフェースを提供している会社が現れ、手数料として中間搾取が発生するのかなと思ったのですがその点についてどう思いますか?

A:全ての手数料が中間搾取だとは思っていなくて、それは必要なことだと思います。例えばuberとかAirbnbの次のステップとしてブロックチェーン上にある信用情報にアクセスしたら、お金を払ってくださいとなって、健全なデータ売買になると思うんです。

ポイントは中間搾取が悪いというわけではなく、余計な手数料がかかるべきでないということです。僕がAirbnbで生活している理由は家賃をいくら払ってもあなたは素晴らしいですという証拠を出す会社はひとつもないからです。家賃をちゃんと払っていますというのを紙で管理していても、紙に書いてる情報なんて改ざんできるじゃないですか。これをブロックチェーン化することによって初めて大企業の持っている情報は価値になるし、僕らの資産である情報は価値をもって保存されて、それが有効利用できるようになるわけです。それはもちろん価値のある情報なわけで、その情報を持っている人は対価としてお金をもらうべきだと思うし、家主も僕の家賃の記録を売ってもいいと思います。その代わり、家賃安くしてくださいとか、そういう感じでデータの経済圏ができるべきなんです。だから商売はどんどんやるべきだと思います。

会話をする時に伝言増やしていいですかというのが、ほぼ全ての今のインターネットです。それをとりあえず(P2Pに近い形で)直接やりましょうということです。ビットコインのウォレットアプリが簡単にみんなに配られたとして、お金の流れは直接じゃないですか。当然アプリインターフェースとしてそこで手数料を取る人も出てくるし、実際マイニング手数料を払っているわけなんで、完全に手数料がなしというわけではないんですけど、余計な中間搾取は今以上に減っていきます。

ポイントはめっちゃ手数料が安いということです。車が5円だけデータを売りたい時に手数料が800円というようなpaypalは絶対に機能しません。中間に入る会社もこれからたくさん増えてくるからこそ、エコシステムが必要だし、二次産業が生まれると思うのでみんながそういうビジネスを出していいと思います。

Q:ブロックチェーンの弱点とは何ですか?例えば量子コンピューターなどの爆発的なパワーを持ったものは脅威ではないかと思っています。

A:最高の質問ですね。その課題を解決するためにあるのがsiviraのブロックチェーン プルーフであるわけです。そして量子コンピューターに対して我々は既に研究開発を始めています。量子コンピューター時代を見据えた次世代の暗号化技術、 次世代の通信技術、次世代のブロックチェーン技術を作って人類のためになるインターネットの社会インフラを作ることが我々の目的で、それをオープンソース化して1円も儲からないけど、世界は幸せになって、僕らは死んでいくという未来を考えてるんです。まあデータの中でsiviraは死なないんですけども。

まあそれはいいとして、ブロックチェーンの問題としては情報が流出した状態でスタートです。あなたがビットコインをいくら持っているか一発で分かります。

それから全世界に分散保存するので「コーヒー買いました。決済完了まで1時間店頭で待って下さい。」と。そんなことしたらコーヒー冷めるわというのが今の問題です。それを解決するためのセカンドレイヤー技術もありますが、siviraが今取り組んでいるのはプライベートブロックチェーンです。これは要するに全世界に共有しているレッジャーだと時間がかかってしまうので、あなたの会社専用のブロックチェーンネットワークをましょうということです。だから世界最速と言っていいと思っています。世界最速のブロックチェーンが可能なのは、ものすごく少ない人数で合意をとることで、最速で書き込むデータベースとしてのブロックチェーンを意味しているからです。

プライベートブロックチェーンは患者のカルテ情報とかでもいいですよね。プライベートブロックチェーンでやることの問題点としてはプライベートブロックチェーンは結局siviraが改ざんできるんじゃないかという点と運用コストです。運用コストは当然うちの会社のデータを保存したら、その会社がお金を払う。シンプルにそれだけです。siviraが情報を改ざんできるのではないかという問題の解決アプローチは定期的にハッシュ値をパブリックブロックチェーンに書き込むということです。実際改ざんされてしまったデータは失われますが、そうすることで「パブリックブロックチェーンを見てください。データの実態はここにあるので」と改ざんされてないことは証明できます。

ブロックチェーンの特徴であるデータを改ざんできないということを維持しつつ、データのプライバシーを守る。こうすることで今、企業がざるに突っ込んでニコニコ笑っている情報というものをちゃんと金庫にいれましょうと。だからsiviraは金庫を売っている会社です。なのでこれからもブロックチェーンの未来は明るいと思います。

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